「モーツァルトはつまらない」
そんな大胆な発言を聞いたことはあるでしょうか。
わたしは度々そんなコメントを耳にすることがあるのです。
「モーツァルトって本当に良い?」
「有名なだけで面白くない」
「これから淘汰されるよ」
これを聞いてどう思いますか?
わたしは大変滑稽でトンチンカンなコメントだなといつも感じます。
だって時代をまたいで国境を越えてもたくさんの人に愛される魅力があるからこそ現代まで残っているのであり、その人にモーツァルトの作品それぞれの良さがわかっていないというだけなのですから。
これはモーツァルトに限ったことではなく他の作曲家やジャンルに置き換えても同じことが言えます。
それは良さをわかっていない人の勉強不足というのもありますが実はそれだけではありません。
その人が聴いたことのある演奏が魅力的でなかったということも原因の一つになるのですね。
演奏した人がその作品の魅力を理解していなければ聴く人にそれが伝わるのは自然なこと。
「つまらないな」と思いながら演奏したらどんなに素晴らしい作品もつまらなく聴こえるものです。
普段の会話を思い浮かべるとよくわかるでしょう。
電車が大好きな人が語る車両や駅の特徴を聞くときと、電車には全く興味のない人が語る同じ内容を聞くとき。
「なんだか面白そうだな、ちょっと調べてみようかな?」
なんて気分になるのはどちらのお話を聞いた時でしょう。
考えるまでもありませんよね。
また違う例だと、お母さんが好きで見ている番組はどんな変なテーマであっても子供も興味を持ったりするもの。
これはわたしの母がそうでした。
タモリさんが司会をしている「世にも奇妙な物語」という番組がありますよね。
うちの母はこれが大好きで放送のある日は早くから夕飯を終え時間までにテレビの前に座れるよう万全の準備をしていました。
わたしはそれよりドラえもんとかドラゴンボールが好きでしたがなぜかその不思議な番組は「よくわからないけど面白いはずだから絶対観たい!」と思っていたものでした。
楽譜に込められている面白い要素を読み取れていなければ、作品の魅力を伝えるような演奏にならないのは当たり前のこと。
そして語る本人が面白さを理解していないままその魅力を伝えるなんてとうてい無茶なこと。
「このジャンルはおもしろくない」
と思ったら、それはあなたの聴くスキルと表現した奏者のアナリーゼ力が足りていないというだけのことかもしれませんよ。