お腹を張り出す動きと息を吹き込むはイコールではありません。
でも昔の指導で先生が生徒のお腹を押して、生徒はそれを押し返す動きをトレーニングとしてやったなあ、という方もいるかもしれません。
有吉尚子です。こんにちは!
これはその先生が解剖学の知識を持っていないから間違った指導をしていたというわけじゃありません。
何かしらの効果がある生徒がいたでしょうし、その先生自身は自分がやってきて良かった方法を取り入れたのかもしれませんしね。
ではこのお腹を押し返す練習はどんな場合にどんな効果があるのでしょうか。
例えばパワーのないヘロヘロな吹き方をするために音量が出ないし音質も弱々しいという人の場合。
そもそも吹き込みによって内臓が圧迫されるような圧力を作り出すことを知らなかったら。
日常生活ではそんな圧力はほとんど使いませんから楽器を始めたばかりの人がそれを知らなくたって普通です。
そんな場合、お腹はふにゃふにゃのままヘロヘロな音を出しますね。
それに対して圧力を作るという概念を教えるためと、実際に圧力をかけたときの音質のハリがどんなものなのか知るためにはお腹を押し返すというのも意味があります。
すでにある程度鳴らせている人にやったら逆効果になることも、全くなってない人に取っては吹き込む動きの良いヒントになりうるんです。
古い指導方法はみんなダメ!
最近流行りのやり方が良い!
そんなことはありません。
どんなに変に思える練習でも何かしら根拠や効果があったはずですからね。
頭ごなしに否定するよりもどんな場面でどんな効果を期待できるのか考えてみたら、どんな指導方法からも取り入れられることはたくさんあるかもしれませんね。