アナリーゼ 合奏・アンサンブル 音楽理論

実際のフレーズで調性をみてみましょう

有吉尚子です。こんにちは!

楽典を一緒に読んでみましょう!のシリーズ、今回はp126の例題1から見ていきましょう。

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このフレーズは完結していないから書いてある一番最後の音は主音では無いんですね。

最後の音が主音であると言うのはピアノとか無伴奏ソロなんかではあることかもしれませんが、オーケストラのパート譜などでは第五音のパートも第三音のパートもその他のパートだってあります。

それに曲の位中で一部だけ転調しているような時もありますし、調性判断の時に最後の音は必ずしもあてになるわけではありませんね。

旋律全体を見ていく必要があるわけです。

ひとつひとつの音が音階固有の音かそうじゃない飾りの音かは本で詳しく解説されているのでここでは改めて書きません。

手順としては本の解説の通りで問題ありませんがもう一つ手っ取り早い見方もあります。

それをご紹介しましょう。

まず全体を見てシャープ系なのかフラット系なのかを判断します。

このフレーズは見るからにシャープ系ですね。

次にシャープの付く順番はファドソレラミシなので、シャープが一番多い調なら何かを考えます。

このフレーズならファとドとラにシャープがあるので、ラまでシャープの調号が付くならシャープ5つのH-durかgis-moll。

でもシャープ5つということは他にソとレにもシャープがなくちゃいけません。

ソは何もつかないのが音階本来の音らしい証拠がいくつかあるので(本の3小節目の解説にあります)ラは音階固有音ではなく臨時に高くなったんだなと判断できます。

ということでこれはシャープが2つのフレーズだということです。

そしてこのラがただの飾りではなくシャープが付いてるのが本来の音らしい証拠もあるってことは、短音階の導音の可能性が高いです。

ラが導音になる短音階はファとドにシャープのh-moll。

ということでこのフレーズはh-mollだとわかるわけです。

手順はなんでも良いのですが、慣れたらこの分析が瞬時に出来て楽譜を見た瞬間に何調なのかわかるようになるんですね。

そしたらこのフレーズの向かう先は主音のHだということ、Fisは盛り上がりの音だってこと、和音はH-D-Fisが落ち着きなんだということなど色々見えてきます。

楽譜からそんなことが見えたらただのシャープがたくさんで指がややこしいフレーズという印象じゃなくなりますね。

調性を調べてみること、実際の曲でたくさんやってどんどん慣れて行ってくださいね!

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  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 著書『音大に行かなかった大人管楽器奏者のための楽器練習大全』(あーと出版)を2023年8月に発売。Amazon「クラシック音楽理論」カテゴリーにて三週間連続ベストセラー第一位を獲得。 BODYCHANCE認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。管楽器プレーヤーのためのソルフェージュ教育専門家。クラリネット奏者。

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