合奏・アンサンブル 思考と心

無難な演奏とチャレンジのある演奏

安全運転でミスのない演奏とミスがあるけれどチャレンジしてるのが伝わる演奏、どちらが魅力があるでしょうか。

自分で録音して聴いてみるときは、ノーミスであまり大きな表現のないものの方がアラが目立たなくて安心かもしれません。

話は少しそれますが、以前プロフィール用の写真をプロのカメラマンさんにスタジオで撮ってもらったことがありました。

そのときに100枚くらい撮ったたくさんの写真の中から、画像の仕上げをして完成品として作るのはどれがいいか2枚くらい選ぶのです。

 

そこで自分で「これがいい!」と思ったものと、プロのカメラマンさんが選んだものは違いました。

面白いなと思ってどういう風に選んでるのか尋ねてみたところ、「チラシやSNSで実際に使うときは小さなサイズになることがほとんどだから、小さくなっても雰囲気がわかる大きな表情のものを選んでいる」とのこと。

なるほど!と思ったのでした。

多くの人は自分で気にしてるシミとかシワなど色々気になって、出来るだけアラの目立たないどちらかというと無表情なものを選びがち。

でもそれってチラシやホームページなどで小さくなったときには全然主張が感じられない表情のつまらない写真になってしまうそうです。

面白いですよね。

わたしはそのプロの方が選んだ一枚を完成品にしてもらいました。

話を戻して、演奏にしたって同じことが言えるかもしれません。

自分ではアラの目立たない無難な文句のつけようのない演奏だと思っていても、お客さんや演奏の仲間など他から聴いてる人にとっては何の主張も感じられないつまらない演奏になってしまっている可能性はあるでしょう。

表情をつける時は「思ってるより大げさにやるといい」とはよく言いますが、そういう意味でも本当だと思います。

そしてやはり、こじんまりしたミスのない演奏よりも、多少のミスはあってもダイナミックでイキイキした演奏が聴きたいなとわたしは思います。

CDなどの録音物も全体を通して良い雰囲気だなというテイクからミスした音をひとつだけ入れ替えて修正するのですが、写真もいい表情のものを素材に画像加工ソフトでアラを隠すという面でも似ているなと思ったのでした。

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  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 著書『音大に行かなかった大人管楽器奏者のための楽器練習大全』(あーと出版)を2023年8月に発売。Amazon「クラシック音楽理論」カテゴリーにて三週間連続ベストセラー第一位を獲得。 BODYCHANCE認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。管楽器プレーヤーのためのソルフェージュ教育専門家。クラリネット奏者。

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