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メトロノームでは身につかない正しいリズム

音楽の本質はコミュニケーション、ということを以前の記事でお話しました。

ではリズムについても音程と同じことが言えるでしょうか?

有吉尚子です。こんにちは!

クラシックの作品ではリタルダンドや細かなルバートがニュアンスとしてたくさん使われますね。

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繊細な揺らぎをお互いに聴き合い寄り添い合うというのは、ハーモニーを作るときと全く同じです。

とはいえルバートをしていいと言っても気まぐれに無限に遅くなったり速くなったり、というのは作品全体の整合性やアンサンブルのしやすさが崩れてしまいますね。

リズムの揺らぎを揺らぎとして感じるためには基準が必要です。

その基準というのは作品の持つテンポ感。

一定のテンポ感を共有した上で、速くなる部分があれば取り戻すようにゆっくりする。

また反対にゆっくりになる部分があれば元のテンポに戻るように前に進む、という行ったり来たりがルバートです。

もしも基準のテンポがなければ、戻っていく場所もありませんからどこまでもズルズル遅くなったり、とんでもない速度になって崩壊したり、ということが起きてしまいます。

そして一定のテンポを共有するために必要なのはメトロノームではなくて各自のソルフェージュ能力です。

(当たり前ですがメトロノームは本番では使えません)

人間は歩くことや心臓の鼓動などからして、そもそも一定のリズムで動くことはできます。

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でも日常では精密なテンポを聴き取ったり表現したりということはまずなく大雑把な感覚で過ごすことがほとんどなので、精度を上げるにはやはりそれなりに訓練が必要です。

これは機械のようにテンポを刻めることが目的ではなく、小さな小さな揺らぎを聴いてキャッチするために感覚を繊細にしていく、ということです。

それができるようになると、アンサンブルで誰かがリタルダンドをかけ始めるよりも早く、におい始めた気配を察知して寄り添えるようになります。

ものすごい名手とのアンサンブルがとても快適なのは、そういう研ぎ澄まされた感覚でコミュニケーションを取ろうとしてくれるからなんですね。

自分のテンポが一定なのかそれともどこかに揺らぎがあるのか、そういうことを知るためにはメトロノームは役に立ちます。

でもチューナーと同じでテンポキープをメトロノームだけに頼るのは自分の基準があいまいになるので危険です。

ぜひ注意してみてくださいね!

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  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 著書『音大に行かなかった大人管楽器奏者のための楽器練習大全』(あーと出版)を2023年8月に発売。Amazon「クラシック音楽理論」カテゴリーにて三週間連続ベストセラー第一位を獲得。 BODYCHANCE認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。管楽器プレーヤーのためのソルフェージュ教育専門家。クラリネット奏者。

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