アレクサンダーテクニーク 思考と心 練習 身体の仕組み

大変な練習は続かない

上達のヒントが欲しくてレッスンに行ってみる。

悩んでることの解決の糸口を求めて情報を探してみる。

そんな風に良いアイデアを見つけても結局できるようにならないし身に付いていない気がする。

それってなぜなのでしょうか。

今回はわかってるのに出来るようにならない理由と解決策を考えてみましょう!

一回やったら一生大丈夫?

日常生活や仕事でもそうですが演奏の技術やパフォーマンスの質もやはり同じように日々の積み重ねで出来ているもの。

今日はちゃんと運動できたから今まで20年間の運動不足が解消して健康になったはず、なんて思う人はいないでしょう。

今日は野菜を食べたからこれから一生ジャンクフードでも問題ない!と思う人もいないはず。

歯磨きは年に一回やればいい!そんな人もいませんよね。(いないでほしい)

それはわたしたちの身体が習慣的に行っていることによって作られていると知っているから。

一回だけ身体に良いことをしても継続しなければ変化は起きないとわかっているのです。

では演奏に関してはどうでしょう。

レッスンを受けた時に「こうやって吹けば同じ仕掛けでもちゃんとしっかり鳴るんだ!」と知ったのに日々の練習内容は何も変えず音だけ変わったつもり。

しばらく経って思い出した頃に「あれ?また鳴らなくなってる?」と気付く。

そんなことを繰り返していないでしょうか。

これは歯医者に行ったときだけお口クリーニングをしてる人と同じことをしているのです。

時間とお金と労力がもったいない!

 

「知ってるだけ」を「やっている」にする

これは「こうやって磨けば全部の歯がきれいになるのね」とやり方を知っているだけの状態。

ご飯も運動も歯磨きも日常の中で「やらなきゃ!」などと思わずに無意識でやっているでしょう。

それと同じで新しい奏法を当たり前の吹き方にするのは、寝ぼけながらするいつもの歯磨きを歯医者さんで教わったきれいになる磨き方に変えるのと同じです。

最初は何度も「新しい磨き方はこうだった!」と思い出して気をつけるでしょう。

そして気づいたらいつの間にか新しい磨き方が当たり前になっている。

楽器演奏もそういうものです。

新しい吹き方を知って「これ良い!」と思ったなら初めはその吹き方を何度もやってみる必要があります。

そうやっているうちに慣れて当たり前になりますから。

 

頑張らない方が良い

だからその何度もやってみる作業が努力を要するものではダメなのです。

一々毎回やると決意してわざわざそのために時間と場所を取って、なんてやっていたら続きません。

考えなくても気づいたらやっているという状況にするためには普段の音出しパターンに取り込んで楽器をケースから出す動きの延長で何も考えずにやるのです。

上手くなるにはそういう無理のない習慣化がとても大切。

「この音出しパターンを吹かないと気持ちが悪くて寝られない。」

そういう習慣にしてしまうのです。

そうやって自分のルーティンに取り込むことが出来たら、もう出来るようになるレールに乗った状態です。

後はレールの上を自動運転で進んで行けばいいだけ。

すぐに元に戻ってしまう人はこの自分のルーティンにどう無理なく取り込むかというプラン立てをしないことが多いもの。

良いことを知ったのに何も習慣ルーティンに組み込まないなんてもったいない限りです。

野球のイチロー選手の言葉としても「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道」というのが有名ですよね。

どういいう習慣を作るのか、それがあなたの10年後の音楽ライフを決定づけているのかもしれませんね。

 

ノルマがキツイのはその人に合ってないから

自分の練習ノルマを組む時にもそうですが、反対にレッスンをする立場になったときに、「あれもこれも毎日やって下さいね!」「次はちゃんと練習してきて下さいね!」なんて言ってはいないでしょうか。

ある程度この練習をやったらたいていの場合は上手くいく!という練習法はやはりあるもの。

でもどんなに良いアイデアも続けるのが大変では机上の空論になってしまいます。

受験生や音大生など練習に集中できる環境があって本人がそうしたいという場合なら「これとこれを完成させてきて」ときりぎりクリアできるかどうかの負荷をかけて限界ラインを伸ばすのはとても有効な方法です。

でも仕事があって家庭があって音楽はその余力でやっているという人の場合はどんなに真剣でも使える時間や体力などリソースに限界は出てくるもの。

それでもなんとか全部やろうとする人なら一時期は無理を通して頑張るかもしれません。

でも完璧に全部できないならもういいや・・と諦めたら何もしなくなってしまったり。

そんな風に「これを毎日やるの、むりだな」と思ってしまうような練習法はどんなに良さそうに見えても【その人には合わない方法】でしかありません。

ノルマがキツイと感じるということはあなたには合っていない証拠なのです。

 

上がれる階段を組む

高いところにたどり着くためには足の届かない大きな階段を一気に上がらなくても良いのです。

スモールステップの積み重ね、それが無理なく息切れなく目的地にたどり着くために大切です。

ということで「こんなに全部一度に出来ない!」と思う量の練習をしたいと思うのなら、そのノルマをクリアできるよう長いスパンで考えてみましょう。

たとえば毎日5分練習できるなら一週間で基礎練のパターンを一周りするとか、

週に一回2時間吹けるなら一ヶ月かけてやりたいパターンを一周するとか。

一日サボると3日分下手になる、なんて言葉もありますが\そんなの関係ねえ!!!/

毎日でなくても定期的にやっておきたいパターンを繰り返すことで脳は何度もその動作に関わる指示を思い出しだんだん身についていくものです。

月に一回しか手続きしていない家賃の振込先口座番号なのに何年も続けると覚えてしまうのと同じこと。

たとえ毎日の習慣には出来なくても月イチの習慣にするだけだってちゃんと効果はあるものです。

 

脳は出来たことを忘れない

たしかに筋力的には月イチルーティンでは維持や向上は望めませんが、一度乗れたら自転車の乗り方を忘れないのと同じ。

過去に出来るようになった(定着した)ことというのはお休み明けにも筋力さえ適切に回復できれば再開は容易になるもの。

それは一度出来た脳の通り道は筋肉と違って細くなったり消えたりしないのが理由です。

身につけたいことは必ずしも毎日でなくても繰り返すルーティンに組み込む、ぜひやってみてくださいね!

完全無料

*ezweb・vodafone・softbank.ne.jp・hotmailからのご登録の場合、文字化けやメールの配信エラーが大変多くなっております。恐れ入りますが、それ以外のアドレスからご登録をお願いいたします。

  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 著書『音大に行かなかった大人管楽器奏者のための楽器練習大全』(あーと出版)を2023年8月に発売。Amazon「クラシック音楽理論」カテゴリーにて三週間連続ベストセラー第一位を獲得。 BODYCHANCE認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。管楽器プレーヤーのためのソルフェージュ教育専門家。クラリネット奏者。

-アレクサンダーテクニーク, 思考と心, 練習, 身体の仕組み

Copyright © 2022 聴く耳育成協会 All Rights Reserved.