アレクサンダー・テクニーク 思考と心 本番 身体の仕組み

本番で緊張するのは「理想」に縛られているから

Pocket

演奏を出来なかった期間が明けて久しぶりの本番、なんだか今までになく緊張した!

合奏中あちこちにソロがたくさんあるより、一箇所だけ短いソロが出てくる方がドキドキする・・。

もしかしたらこれは似たような仕組みなのかもしれません。

今回はこの頻度によるメンタル面の変化について考えてみましょう。

本番で緊張する思考

あちこちにたくさん自分のソロの場面があるとき、一体どんな気持ち本番に臨んでいるでしょうか。

「あの部分はこうやろう」

「このフレーズはこんな感じで」

「一番の難所はここだったな」

なんて考えているかもしれません。

これらはこれから向き合うストレスフルなことに対して建設的にどうやろうか考えているという思考です。

このように考えているときにはこわばりを生むような過緊張になったりはしないもの。

では反対に一箇所だけ短いソロが出てくる本番ではどんなことを考えているでしょうか。

「キタキタキタ!!」

「ミスしたらどうしよう」

「上手くできるかな?」

もしこんな思考が出てきていたら、それは残念ながら全部演奏には関係のない雑念です。

雑念に支配されているときはすごくドキドキして緊張しているのではないでしょうか。

こういう状態では満足できる演奏に繋げるのは難しいかもしれません。

たくさんソロがあるといちいち「どうしよう」と騒いではいられないので、ある種の諦めのような居直り感が出て動じにくいのかもしれません。

 

ミスしてからが本番

大事な本番だからノーミスで丁寧に演奏しようと思っていたのに初っ端からリードミスなどしてしまい、もうどうでも良くなって破れかぶれで思いっきり表現したらオーディションに受かった、予想よりいい演奏になったなど誰しもあるのではないでしょうか。

思ったように演奏したいというのは演奏者なら当然の願いですが、もしかしたらそう願い事によって火事場のアドレナリンによって本番でだけ出来るパフォーマンスを制限してしまっている面もあるのかもしれません。

ある意味自分の想像力の限界である「理想」というものが自分を縛る檻になってしまってそれ以上の力を発揮するのを邪魔してしまうような。

そういう見えない檻を壊してさらに良い演奏にするきっかけが諦めや居直りだとしたらどうでしょうか。

「諦め」「居直り」と言ってしまうと印象が良くないかもしれませんが、事実を事実として受け入れて起きていることに正面から向き合い、もう一歩先へ進められる本来の自分の可能性を解放するのに役立つ姿勢なのかもしれませんね。

次に久しぶりの本番にどんな準備をしていきたいかを考えてみましょう。

 

久しぶりでも変わらないもの

音楽に限らず何事も久しぶりに出会う人や場所やものってどんな風に変化しているかワクワクするのではないでしょうか。

子供の頃に過ごしたあの場所、今はどんな風になっているのかな?

学生時代の同級生、もう白髪になっているかな?

昔好きだったあのレストラン、今も変わらない味だろうか?

若い頃は苦くてとても飲めなかったあの高級ブランデー、もしも今飲んだら美味しいと感じるのだろうか?

久しぶりに接する前には前と全く同じであるとは思わず変わっていて当然と考えるでしょう。

そして実際に以前と全く同じであるときの方が驚いたりするもの。

わたしたちの周りの全ては変わりゆくし、わたしたち自身も変わり続けるのが自然なのです。

同じ演奏は二度とできない

旧友や懐かしい場所や思い出の味だけでなく、楽器の演奏をするわたしたちも歳を取り続けているし経験と知識は増え続けていて同じ瞬間は二度とありません。

もしも奇跡的に以前と全く同じ演奏をできたとしても、きっとそれに対して感じることは違っているでしょう。

といういことは久しぶりの本番にそれまでと同じ条件同じ結果を期待してもムダだということ。

同じように練習してきたとしても同じ結果は生まれないものと思って向き合った方が驚きや戸惑いが少ないのではないでしょうか。

 

期待が緊張を生む

今まで通り、期待通り、予想通り、そういう決まった結果を再現するのは現実的に可能なことではないので脳から出ている指示が身体にとっては「不可能なことをしようとしている」としてエラーを引き起こす指示になってしまうのかもしれません。

こういうケースはアレクサンダー・テクニークでよく「不可能プラン」と言われる現実的に良い結果に結びつかない動きの指示なのです。

「こうやりたい」と願うその気持ちが願いの実現から遠ざかる原因になっているとしたら、果たしてどうしたらいいのでしょう。

何が起きても対処できるように

こんな場合には瞬間瞬間で新しく生まれる感情や聴こえ方に好奇心を持って心を開いておくのが良いと言われます。

新しいことが起きるのが当然として、何が起きても対応できるように心身ともに柔軟でいるということ。

誰しも自分で思いつくことには限界があるものなので、理想とする決まった何かを追い求めるよりも新しく起きることに建設的に「ついていく」という気持ちを持つことも大切なのかもしれませんね。

メール講座では演奏に必要なスキルについてさらに詳しく毎日無料でお届けしています。ぜひ読者登録してくださいね!
完全無料

受信形式

HTMLメール

文字メール

  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 BODYCHANCE認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。

-アレクサンダー・テクニーク, 思考と心, 本番, 身体の仕組み

© 2021 聴く耳育成®メソッド