アレクサンダー・テクニーク 思考と心 身体の仕組み

ブランク明けの練習法

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しばらく楽器を吹けない日が続いた後、久しぶりに吹くと口の周りやお腹付近など筋力が落ちていることを感じたりしないでしょうか。

長いブランク明けはつい焦っていきなり長時間音出しをして疲れたり無理矢理今まで通りに吹こうとして変な奏法がクセになったりどこか痛くなったり。

こういうブランク明けの練習は連日吹けていた時の練習とは変える必要があるのです。

今回は久しぶりに楽器を吹いた時の練習についてまとめてみました。


いきなり長時間吹かない

長く演奏できなかった期間があけたら「さあ吹こう!」と張り切りたくなるものですが、とにかくたくさん吹けばブランク期間が帳消しになるなんていう単純なものではありません。

以前吹いていた時に比べたら筋力も体力も違っているはずだし、吹かない間に見聞きしたものや感じたことによって音楽への向き合い方も変わっていることも少なくないでしょう。

吹いていない間、どのスケールをやるとかエチュードの続きが気になってるというだけでなく、自分にとって音楽とは何か、何のために吹きたいのか、そんなことを改めて考えることもあるかもしれません。

そんな心身ともに変化しているはずのブランク明けの最初の時期は、いきなり長時間練習するのは控えてせっかくなら少し丁寧に奏法を再構築したいものですね。

 

ブランク明けにおすすめの練習

はじめはちょっとずつ身体を慣らし、唇やお腹周りや腕などに疲れが出てくる前に吹くのをやめるのがおすすめです。

やりたい動作に必要な適切な筋肉が働き出すのを待ってあげましょう。

疲れが出てきたなと感じるまで吹いてしまってはやりすぎです。

ここで無理に一気に戻そうとすると瞬発力はあるけれど鳴らなくさせる筋肉が発動して奏法の再構築をとても邪魔してしまいます。

疲れる前に一旦やめて休ませたら、次のときにはもう少し長く吹いても大丈夫になっているでしょう。

これは同じ日に何度も時間差でチャレンジするのではなく、一度眠って脳が情報を整理するのを待ってから再開する方が効果的。

そうやって丁寧に演奏を再開すると元々持っていた変なクセが抜けたりより効率的に鳴らすことができるようになったりとメリットもたくさんあるものです。

 

一見遠回りして上手くなる

以前の続きからの練習ではなくここから新しく奏法を作り直す、と思うと果てしないような気がしてしまうかもしれません。

でもすでに一度演奏できていた過去の記憶がある今、本当の初心者のときとは比べ物にならないくらい早く思った水準まで戻すことは出来るしあやふやにやり過ごしていた部分が明確になったりするものです。

久しぶりに吹くときにはぜひ取り入れてみてください。

 

なぜ急に戻そうとしないほうが良いのか

疲れていたり痛みがあるのに無理やり吹いたとき、音が縮こまって窮屈になったり音量や音質の細かいコントロールができなくなったりした経験はあるでしょうか。

当たり前といえばそうなのですがこういう音や操作性の不具合はなぜ起こるのかを考えてみましょう。

 

疲れてるのはどこ?

まず演奏するという動作によって身体が疲労した場合、これは当たり前ですが吹くための筋肉が疲れているわけです。

口の周りだったり腕だったり直接的に演奏に関わる部位ですね。

その時にさらに無理やり吹こうとしたら、すでに疲れている筋肉はもう機能しません。

ということは代わりに別の筋肉で本来演奏のために働く筋肉の仕事を肩代わりしなければならないのです。

代わりに働くのはどこ?

肩代わりするのは普段は演奏にあまり関わっていない筋肉。

なぜその筋肉たちが普段演奏に関わっていないかと言うと、演奏の動作を行うことができない構造になっている、もしくは著しく効率が悪いから。

そうです。

つまり演奏をする役割を担えない仕組みになっている筋肉たちがどんなに頑張っても、上手くは行かない上に普段より余計に疲れるのです。

演奏のために働ける筋肉がまたちゃんと機能するためには一旦休んでリセットされなければなりません。

他の部位で仕事を肩代わりすることは出来ないのです。

 

役割が違うのです

さらに本来微細に音色や音量などコントロールしている筋肉はかなり細かな動きをしています。

そして出来もしない仕事を肩代わりしようとしてくれる男気あふれる(?)筋肉たちは身体の表層にあって、大雑把で強い動きの方が得意なことが多いもの。

脳外科医が手術中に疲れたからと代わりに手術作業を大工さんに頼むようなもの。
(作業の細かさの例えです)

本職じゃないのです。

担ってる役割が違うのですから。

でも仕事を肩代わりしようとする筋肉たちはその本職じゃない仕事を何とかしようと頑張ってくれるのであちこちに不具合が起きる割に狙った効果が出せないのですね。

そのまま見当外れな動きを繰り返せばそれがクセになってしまいます。

 

疲れたときの対処法

演奏していて疲れてきたり痛みが出たら、すぐにやめて休むことが大切。

動かしたい筋肉が適切に働くことを繰り返すことが練習です。

的はずれな動きで疲れて自分をごまかすことは練習ではありません。

無理をしてでも練習を続けたいと思ったときには思い出してみていただけたら幸いです。

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  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 BODYCHANCE認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。

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