練習しなきゃうまくならないのはわかっている、でもそもそも練習ってどうやるの?
そんな疑問を持ったあなたはこれから一気に上手くなっていくかもしれません。
何も考えずにただ繰り返す時間の無駄はもうやめて、せっかく努力するなら本当に上手くなる練習をしていきましょう!
もくじ
やり直しグセの弊害
よく、
「とにかく100回繰り返す!」
「間違えたらとっさに無条件でやり直す!」
そんな練習の仕方をよく見かけますが、これは実は練習方法としてはすごく効率が悪いのです。
なぜかというと、何が原因でどんなことが起きてるのかあやふやのまま繰り返すことで上手くいってない動作を引き起こすクセを強化することになるから。
混乱するための練習になってしまうのですね。
上手くいかない箇所がどう上手くいってないのかはっきりさせて、どうしたら上手く行くのかを考えて試すことの繰り返しが練習というもの。
例えば速いパッセージが上手く吹けないという場合にも
・指や身体の動きがそのパッセージに慣れていない
・何の音を出すのかがあやふやで脳内が混乱している
・必要な動きを勘違いした動作で行っている
など原因は様々。
そしてちゃんと自分が今うまく行かせられない原因がわかったら、対処法もそれぞれ見つかってきます。
そうしたらどんな練習をどれくらいしたら良くなるのが見通しが立つので、希望を持って練習できるでしょう。
練習がうまくいかない3つの原因
ではここからはありがちな不具合の原因について解説してみましょう。
速いパッセージが上手く吹けないという場合の原因例として、
・指や身体の動きがそのパッセージに慣れていない
・何の音を出すのかがあやふやで混乱している
・必要な動きを勘違いして動作を行っている
他にもあるかもしれませんがひとまずこの3つを順番に見てみます。
指や身体の動きがそのパッセージに慣れていない(心身のコントロール)
まず最初の「指や身体の動きがそのパッセージに慣れていない」というパターン。
やり慣れた動作がとっさのときにパッと出てくるのは、その動きをすることに慣れているためです。
脳科学は専門ではないので詳しく解説はできませんが、脳から体に動くための指令が出て身体がそれに応えて身体が動く、その指令は電気信号なのだそう。
そしてその回路は繰り返し同じことをし続けることでだんだん指令が通りやすくなっていくそうです。
たしかに熟練の職人技なんかはそうやって身に付けていきますし演奏者も繰り返し練習することで判断や反応のスピードも上がって行きますね。
ただし、それは間違った動作をせずに正しいことを繰り返した場合。
間違った動作を繰り返せば、それを行う回路が強くなってとっさのときに間違った動きが出やすくなります。
とっさのときというのは主に本番で緊張したときなど。
そしてさらにこの回路を指令の電気信号が通り慣れていないと、動作が引き起こされるのには時間がかかるのだとか。
はじめは時間がかかるのが当たり前なのにそれが待てなくて本当はその動きとは関係のないはずの動作で補おうとする、そうすると変なミスをしたり指がこんがらがったりします。
「新しい曲の時だけ肩こりになる」なんていう方の場合も、その時だけ普段とは違う動きをしているということがよくあります。
それが癖になってしまったらなかなか直らないし大変ですね。
速いパッセージの時はまず最初にどんな動きが必要なのかゆっくり確認しながらやってみるというのがとっても大切。
「速く動く!」だけではなく、速くどう動くのかがはっきりわかっていないと何にもやりようがありませんからね。
何の音を出すのかがあやふやで混乱している(ソルフェージュ力・読譜力の不足)
次に「何の音を出すのかがあやふやで混乱している」というパターン。
これはソルフェージュのことで、出したい音が正確にわかっているかどうかということ。
・どこに臨時記号があるのか
・隣の音に進むのかそれとも離れた音に進むのか
・どれくらい距離のあるところに進むのか
・どんな和声の中でどんな役割なのか
など整理してみましょう。
意外に楽譜をよくわかっていないまま吹ことしていることに気づいてびっくりするかもしれません。
必要な動きを勘違いして動作を行っている(心身の構造についての知識の無さ)
最後に「必要な動きを勘違いして動作を行っている」というパターン。
これは専門家でないと少しわかりにくいかもしれません。
例えば指の付け根の位置を勘違いしていて、構造的に動かない場所を動かそうとしているようなときに起こります。
指の付け根で本当に曲がるのはこの場所からです。
なのに骨の途中であるこの部分から動かそうとしていたら、上手くいかないのは当たり前です。
他にもひじを曲げたいときに前腕の途中を曲げようと頑張っても全く動きませんよね。
構造的に無理のあることをしようと無茶な負荷をかけ続けるのは骨折やケガなどに繋がります。
そういう原因で何かのパッセージが上手くいかない場合には、どこをどう動かすと意図したことができるのか、ということを整理するのも役に立ちますよ!
練習の仕方も教わってしまおう!
練習をするときの手順や譜読みのやり方を体系的に教わったことのある方はきっと多くはないでしょう。
ただ何度も同じ箇所を繰り返し吹けばいつかそのうちできるようになるのかそれとも何かやり方のあるものなのか。
誰に教えてもらえば良いのかわからないけど、みんなどうしてるんだろう?
先生にそんなこと尋ねたら怒られそうだし…
そんな風に思っているのはあなただけではありません。
多くの練習者はそういう悩みを持っているもの。
でもそれはきちんと練習の手順というものを教わってこなかったからであって、必ずしもご本人の責任ではないのです。
ただ機会に恵まれなかっただけ。
そして自力で練習方法を体系立てられるほどの時間や状況を確保することが難しかっただけ。
だからこそ、そういう情報不足を補うためにレッスンがあるわけですから。
それなのにレッスンで出来ないところがあったとき、「練習しておいてくださいね」とだけ言われても何をしたらできるようになるのかわからないままなのは当たり前。
練習の仕方の他にも誰に聞いたら良いかわからないようなことを身近な先輩やトレーナーが教えてくれたらいいでしょうが、なかなかそうもいかないのが現実。
それならせっかくのレッスンでは思い切って「できるようになるためにどんな練習をしたらいいですか?」と尋ねてみるのもアリかもしれませんね。
脳の回路の出来上がる仕組みなどは人間に共通のものですし、合うかどうか個人差はあれど基本的な練習方法についてはわかっている人から学ぶ方がやはり早いもの。
そうやって人類は文明を発展させてきたのですから、変なところで「自分で方法を開発する!」なんて意地を張る必要はないでしょう。
素直に尋ねてみる、それができれば上達スピードも段違いに上がっていきそうですね。