耳を良くするために自己流で耳コピの練習をした経験はあるでしょうか。
耳のトレーニングとして代表的な「聴音」という聴き取ったものを楽譜にしていく手法はソルフェージュの訓練としてメジャーでよく知られています。
じゃあやってみよう!と思うかもしれませんが、
手近な曲でただ耳コピができても聴音としての効果はありません!
どういうことなのか詳しく見ていきましょう。
耳コピで耳が良くならないワケ
音大・音高受験生の多くがただ聴き取って楽譜にするだけのゲーム感覚でソルフェージュ、いわゆる耳コピをやっています。
ただ単に聴こえる音を楽譜にするのは簡単なもの。
和声進行はどうなっているか、音量バランスはどうか、音の立ち上がり方はどんな風か、テンポはどうでビート感はどうか、転回型による安定感の違いは、そんな細部や音楽的な変化はろくに聴かなくても楽譜に起こすことは可能です。
そう。
実は聴音というのは音の高さを聴くだけではなく、他にもたくさんの要素を聴ける耳を作るためのトレーニングなので単なる耳コピとは違うもの。
そしてそれを確実に出来るように順序よく段階的に導いてもらうのがソルフェージュのレッスンです。
ただ聴き取って楽譜を起こすという単純なこと以上に奥が深いものなのですね。
「自分で耳コピをしてみたけどいまいち効果を感じない」
という方は音の高さは聴き取れて楽譜は一応鳴っている曲を書けても、じゃあそこにどんな情報が含まれていて聴こえているべきなのかが抜け落ちているというパターンが多いもの。
それはソルフェージュ自体に意味がないのではなく、やり方が間違っているということなのです。
間違え方別タイプ診断
耳コピよりもたくさんの情報をキャッチする訓練である聴音、トレーニングとして聴き取っている様子だけでもその人がどれくらいの耳レベルかは実はわかるものです。
ただ書いてる姿といえども、意外にその動作自体が足りない部分がどこなのかを示していたりするもの。
興味深いですね。
それでは聴音トレーニングで書き取る様子からは何がわかるのでしょうか。
せっかくなので診断テスト的に見てみましょう。
この中からあなたのタイプに当てはまるものはあるでしょうか。
●聴き取ったフレーズを頭から順に追いかけて書いているタイプの手が止まる
↓
複雑なリズムや跳躍音程でつまずいているサイン。
●音程が跳躍したときに迷子になってわからなくなってしまう
↓
和声が聴こえていないタイプ。
●音程は取れているのにリズムを間違えてしまう
↓
場合はビート感があやふやで拍子感がないタイプ。
●わかるところだけ拾ってところどころ書き進めて行く場合
↓
特定の音域に慣れていて他の音域が聴こえないタイプ。
●途中から調が変わってしまう
↓
移調楽器を演奏していて実音ではなく記譜で音を捉えているタイプ。
●休符なのか伸ばし音なのか判断出来ない場合
↓
語尾を丁寧に演奏しないタイプ。
●聴こえる音が何なのか見当もつかずなにも書けない場合
↓
音階各音の役割を知らず調性感が欠けているタイプ。
他にも色々のケースが存在します。
あなたがどんな風に聴音をするかでどんな演奏をするタイプなのかがトレーナーである専門家にはだいたいわかるもの。
ソルフェージュは聴音だけでなく色々なアプローチ手法を組み合わせたものですが、こんな風に聴音ひとつとってもその人に何が欠けていて強化が必要なのかわります。
だからこそ個別に足りないものを強化していくトレーニングが可能になるものなのです。
自分でやってみたけどわからない!
もしもただの耳コピを自分でやっていて「これが問題になっているな」というのがいまいち見えてこないとしたら、それは当然です。
なぜかというとあなたはソルフェージュ教育の専門家ではないから。
だからこそつまずいて困っているのでしょう。
それぞれの専門家でない人が家を建てたり料理をしたり飛行機を操縦したり病気を治したり出来ないのと同じで、餅は餅屋です。
音並べゲームだけじゃない聴き取る情報のあれこれ、気にしてみると良いですよ!