ゆっくりのテンポから始めて出来たら少しずつテンポを上げていくような練習、進めて行くとだんだん出来ていたはずのことが上手く行かなくなってきませんか?
それって練習の段取りに問題があるわけではなく、「出来た」として次に進む基準が甘いことが原因のことが多いのです。
どういうことかというと、テンポ40ではストレス無く出来たパッセージでも、だんだんテンポを速くするうちにちょっとだけ鳴りにくい音が出てきたとします。
ほんの少し音量にでこぼこはあるけれど一応聴こえてはいるし、「まあいいか」と放置してそのまま次のテンポに進みます。
さらに速いテンポではその鳴りにくい音はもう少しだけ音量が下って聴こえます。
でもまあ無音になってるってわけじゃないし、できたできた。
そんな調子で練習を進めていくと、あるテンポから鳴りきらないうちに次の音に移らなければならなくてその音は無音になります。
ここへきて「あれ?一つ前のテンポまでは出来ていたのに急に出来なくなった。テンポをひと目盛り戻してやってみても上手くいかない」ということになるのです。
ほんのちょっとの音量のばらつきやアーティキュレーションの正確さ、リズムのヨレ具合など、上手く行ってるかどうかの基準が精密かどうかというのは、意味のある練習ができるかどうかを左右します。
基準が甘いつもりはないのにそんなことが起きてしまう場合には、自分の演奏を吹きながら細部まで精密に聴けていないという証拠。
自分の演奏を脳内補正せずに客観的に聴く姿勢と、音のどこにどんな注意を払うかというソルフェージュ力は、練習の効率と精度を変えてしまいます。
あなたはどのレベルで出来たら次の段階に進む許可を自分に出していますか?