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機械的じゃない歌い方の練習

今回はゆらぎのある歌い方の練習についてご紹介します。

これは無拍子でフェルマータばかりの現代曲でない限り、メトロノームを使うのがおすすめです。

もしかしたら「メトロノームで練習したらカチカチで面白みのない演奏になっちゃう!」と思うかもしれませんね。

何の基準もなしにテンポをキープしつつ歌えるなら、メトロノームなしで練習するのもいいでしょう。

でも日本のプレーヤーは言語の習慣からの影響からか「歌う=遅らせる」になってしまって、歌い込もうとするほどズルズルとテンポが遅くなって戻せないというパターンがよく見られます。

反対に緊張と興奮でテンポを上げたきり戻せなくて、見せ場や難所で自滅するというパターンもよくあります。

押したら引き、巻いたら緩む、その押し引きが演奏における抑揚です。

バランスを取って帳尻を合わせるのも大切な要素。

 

思い切った抑揚が付けられず棒読み演奏になってしまう方は、帳尻合わせに自信がないというのも揺らすのが怖い理由のひとつでしょう。

揺らした後で戻ってくる基準としてメトロノームはかけながら揺らす練習をするのはおすすめです。

この時、メトロノームの鳴っている音全部にピッタリ合わせるのではなく、小節頭の拍やフェルマータ明けに戻って来たいポイントを決めて、そこで元のテンポに戻ってこられるよう歌い方や揺らぎ方を調節するのです。

その戻ってくるための指針を持った上で、音が遠くに離れていく跳躍のときやフェルマータ前など、溜めたりゆっくりしたりする部分はどのタイミングからどんな風に緩めるのか溜めるのか、自分でしっくり来る歌い方を探ってみましょう。

またスコアを見て揺らして大丈夫なのはどの音なのか、他の楽器と一緒になるのはどの音なのか、自由に揺らした後にある一緒の音をどうやったらお互いに合わせやすく吹けるか、そういうことも合わせ前に実験して準備しておきましょう。

どんなに緩んだり溜めたりしても戻って来られたらそれは「抑揚」ですが、テンポ自体が変わっては効果がないどころか芯のない気持ち悪い演奏になってしまいます。

メトロノームはそれを防いでくれる練習の心強いサポーターです。

練習方法のひとつとして知っておくと役に立つかもしれませんね。

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  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 著書『音大に行かなかった大人管楽器奏者のための楽器練習大全』(あーと出版)を2023年8月に発売。Amazon「クラシック音楽理論」カテゴリーにて三週間連続ベストセラー第一位を獲得。 BODYCHANCE認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。管楽器プレーヤーのためのソルフェージュ教育専門家。クラリネット奏者。

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