客席に自分の耳を置いてきて自分の出した音が聴けたら、そんな風に思ったことはありませんか?
骨伝導で聴いている音もあるし、ステージと客席は位置もちがうし、自分で吹いていると客観的に聴くのって難しいような気がしますよね。
じゃあ、ホールで聴いているお客さんは何を聴いていると思いますか?
あなたの身体に触れて骨伝導音を聴いてるってことはありませんよね。
奏者の近くに来てベルのすぐそばに耳を寄せてるってこともあまりないでしょう。
幼稚園の音楽会などではたまにありますが(笑)
じゃあどこを聴いているでしょう。
ホールに鳴り響いてる音全体を聴いてるんじゃないでしょうか。
ステージから出てきて壁や天井や客席やドアや人間にぶつかって反響している音、それを聴いているんですよね。
ホールの音響が良いかどうか、そんなことがコンサートを聴く時に重要なのはだからこそですね。
では。
ステージにいたらその空間全体で反響している音って聴こえないものなのでしょうか?
そんなわけありませんね。
普通はちゃんと聴こえています。
もし聴こえないのであれば、自分のすぐそばで鳴ってる音や骨伝導の方が近いからそっちに気を取られて空間全体の音を聴いていないのかもしれません。
反響するものがなにもない野外やざわついた会場で本当に空間の音が自分に聴こえないときは、モニター用のスピーカーを奏者に向けて置いておくものです。
これがカエシとかコロガシとか呼ばれるスピーカーですね。
だから有名奏者のコンサートでホールの反響音ではなく生音がどんなか知りたいときはできるだけステージに近い席で奏者の眼の前で聴くのですよね。
ホールに行ったら普段練習室で自分の近くの音を聴いているときと同じ聴き方では同じようにはもちろん聴こえません。
どこに耳を向けたいのか、それをはっきりさせるだけでも結構ちがうものなのですよ!