楽器の練習って簡単で楽なこと、そんな風に思ったことのある方はこのシリーズ記事の読者さんにはきっといないでしょう。
少しでも音出し時間を確保しようとよく噛まずに急いでご飯を食べて楽器があるので大荷物で移動して仕事の帰りに小走りでカラオケに、なんて音楽を続けるのは大変。
くじけそうになりながら何ヶ月も同じフレーズを何度も何度も繰り返し出来ないことに向き合って練習を頑張るのは辛い。
だけど、いえむしろだからこそ、やりがいがあるしできたときに嬉しいんだ。
そんな風に思っている人はきっと少なくないでしょう。
大変なほど楽しいというその気持ちはすごくわかります。
苦労していないってことは実はちゃんと出来てなくて、その出来てないことに自分が気付いてないだけかも?とちょっと不安になったりね。
コツコツ続ける真面目で向上心の強い頑張り屋さんに多い傾向だと思います。
そしてエスカレートすると苦労して上手くなりたいから効率的に上手くなる方法を避ける、という本末転倒なことも意外に起きてしまいがち。
苦労して出来る様になった方法に盲目的にしがみつくことで、新しくてスムーズに進める方法を拒否してしまうのです。
そうやって大変な思いするほど自分は音楽を大事にしてるという気分になれるかもしれません。
今まで真剣に向き合ってきた人ほどあるあると感じることでしょう。
それは本人がそれで楽しいなら別段なにも問題はないでしょう。
それにもしかしたら昔の自分が大変だった方法よりもっとずっといいやり方が出てきて後輩や生徒さんが昔の自分のように苦労せずに簡単に上手くなったら過去の自分の頑張りや努力を否定されたような気もしてしまうかもしれませんね。
でも生徒や後輩に過去の自分と同じように苦労をするのを求めたらそれはただの嫌がらせや意地悪になってしまいます。
誰かに伝えるときには自分が苦労して身につけた古い非効率なやり方ではなく、最も効率的に目的に近づける方法を伝えたいもの。
頑張ってる感と実際の上達は必ずしも結びついてはいないというのはわかっていて、それでも頑張ってる感は中毒性の高い魅力があります。
手のかかる子ほど可愛いのと同じ理論でしょうか。
古い親しみのあるやり方を手放して新しい方法を採用するときにはちょっぴり寂しいかもしれません。
そんな心の動きはよくあるものだというのを知っているだけで、なぜか執着してしまう葛藤から解放されるきっかけになりますよ。
何かの助けになれば嬉しいです。