本当は悩んでいることがあるけれどうかつに誰かに相談したら「あの人は調子が悪いらしい」という噂が広がって仕事が回してもらえなくなるので不調は隠したい。
でもアレクサンダーテクニークなら今の自分の悩みを解決できるかも、という気がするんです。
だからこっそり内緒で相談させてもらえませんか。
いうお話をプロ奏者から持ちかけられることが実はとても多いのです。
実際わたしたちが演奏に関して心身面のサポートを受けるということについて考えたときに
「恥ずかしいこと」
「具合の悪い人が受けるもの」
「自力の努力でなんとかなる」
なんて思ってる人は少なくないのではないでしょうか。
とはいえ表現するってそんなに簡単で自力で解決できることばかりではありませんよね。
そして自力でなんとかなるはずと思っているものを何ともできていない状況というのはとてもストレスになるでしょう。
でもそもそも楽器の奏法だって譜読み法もソルフェージュも最初から誰の助けも借りずに自分だけでなんとかできるなんてものではありません。
どうしてわたしたちは自分の身体や心を思い通りにコントロールできるのが当たり前だと考えてしまうのでしょう。
役者さんやアスリートなど音楽以外では研究されている分野も増えてきているようですが、音楽は点数や順位というような一目でわかりやすい結果と必ずしも繋がっていないことと(コンクールは別として)失敗しても骨折や死亡のような大事故が起きるというわけではないからでしょうか。
とはいえ演奏というのは繊細なコントロールが必要であり心身の状態がパフォーマンスに大きく影響するわけなので奏法や耳の使い方や譜読みについていくら学んでも心と身体がぐずぐずではどうにもなりません。
音楽家もカウンセリングやコーチングなどメンタル面と、アスリートのように専属のトレーナーをつけたり時には医療にお世話になったりなどフィジカル面のサポートを受けるということがもっと当たり前になっていけば
「恥ずかしいこと」
「具合の悪い人が受けるもの」
「自力の努力でなんとかなる」
なんて無意味に自分を追い詰めて可能性を狭めてしまうようなことや本格的に心身のバランスを崩して演奏をやめてしまうような人は減っていくのではないでしょうか。
ちゃんとサポートを受けられたらまだまだ音楽を続けられるのにそれができないというのは悲しいことだと思います。
本人が必要としているときに適切なサポートを受けられるよう時代が変わっていくといいですね。