楽団の参加費や演奏会費、いい楽器を買ったりセッティングを揃えたりレッスンに通ったりなど、「趣味で音楽をするのはお金がかかってしまう・・」なんてお悩みは多いでしょう。
確かに色々かかりますよね。
「プロになれば音楽でお金を稼げるのに」と思う瞬間もあるかもしれません。
今回は音楽の専門教育を受けるのにどれくらいお金がかかるのか、わたしが今まで音楽や演奏のために勉強に費やしてきたお金のことを書いてみます。
音大は他の大学に比べて学費が高いということはご存知の通り。
わたしの出身大学は年間約160万円でした。
学部を卒業するのに4年間通うと160×4で640万円。
それでも当時関東の私立では一番安かったのです。
ちなみにわたしは大学院まで出てるので計6年で960万円です。
そして音大に入るには受験のためにレッスンに通います。
主科の楽器(私はクラリネット)と、副科ピアノ・楽典・ソルフェージュそれぞれを習いに毎週です。
色々な先生がいるのでレッスン料はまちまちですが大体週に2-3万円くらいかかるとして、わたしは1年半くらいでしたが普通は3年くらい通います。
良い楽器に買い換えたりしなくても、音大に入る前に300万円くらいは当たり前にかかるわけですね。
驚いてますか?
まだまだびっくりするのは早いですよ(笑)
積極的な学生だと在学中に演奏やレッスンで仕事をし始めます。
卒業後に音楽の仕事をしている人の多くは在学中からオーディションを受けたりなど動き出しています。
現場で学ぶことは大学で教わることの数倍はありますが、「勉強のために」「経験だから」「今後に繋がるから」なんて言い訳でタダ同然で依頼される案件にも自腹で交通費など経費をかけて引き受けることも多いもの。
そしてたいていの場合、今後には繋がりません。
本当に将来に繋がるのは有能な若者を安く使い倒そうとする悪質な案件ではなく、厳しいオーディションなどを潜り抜けて席を得た真っ当な報酬を支払われる案件です。
だから1000万近くかけて勉強しても卒業後にアルバイトをせずに音楽だけで暮らせるのはほんの一握り。
そんな状況に絶望して音大卒業後数年で演奏活動をやめてしまう、というのは珍しくありません。
むしろ8-9割はやめてしまうのが当たり前な状況です。
話を戻しましょう。
わたしは大学院を終えたあとも公開レッスンを受けたり海外に講習会を受けにいったり不定期でしていた他に、ソルフェージュを一から勉強し直そうと個人レッスンに通いました。
3年間お盆もお正月もなく毎週で、だいたい計150万円くらい。
アレクサンダーテクニークの勉強を約4年ほどして、これは計400万円くらいです。
大学院までは親に出してもらいましたが、その後は自分で払っています。
全部ひっくるめると音楽のためにだいたい1800万円くらいかけて勉強してきています。
わたしとは違うパターンで海外に何年も留学することも今は珍しくありませんし、他にも仕事で必要なバスクラやエスクラなど特殊管を揃えたりするとさらにものすごい金額になりますね。
将来音楽を仕事にできる人はほとんどの場合、大学を終えてから何かしらの学びの機会を見つけます。
リトミックだったり、オーケストラのアカデミーだったり、留学して2つ3つヨーロッパで学校を経る人も少なくありません。
大学を卒業しただけでは専門分野の決まっていない生まれたてのヒヨコ状態なので、その後何かしらの専門分野を掘り下げる必要があるからです。
奨学金や国立大学で勉強する人もいますし、そんなに勉強しなくても上手な人もいるので一概に言えることではありませんが、これが音楽を専門にする人にとってはだいたい標準です。
もちろんお金だけでなく他の大学に進学した同年代の友人が遊んでいるのを横目で見ながら、誘いを断ったりして時間や労力もたくさんかけて勉強しています。
そうやって得た知識や技術をメルマガやブログやレッスンでお伝えしています。
音楽を専門にしている人たちはこういう人生を歩いてきているので、存在しない楽して上手くなる方法や練習せずに上手く行かせる魔法を探すような人とは分かり合えません。
本気で学び、本気で上達を目指したいと願っている方と一緒に充実した時間を過ごしたいと思います。
今後もどんな形であれ一生学ぶことはやめずに自分の音楽を磨き続けたいと思っているので、本気の方は一緒に頑張っていきましょうね!