速いパッセージを演奏するときに指がもつれてしまう、そんなときに一旦立ち止まって振り返ってみたいことがあります。
それは、何の音を出したいのか具体的には特に決めずに音を出すことはできるでしょうか?ということ。
ん?どういうこと?と思いますよね(笑)
まあとにかく試しに実際やってみましょう!
まずピアノかアプリか触れば音が出るのもを用意して、目をつむって一本指でどこかの鍵盤を押します。
音は出ましたよね。
では音が出る前に何の音だか予想できましたか?
目をつむっているんだから無理に決まってますよね。
じゃあ次に目をつむったまま手をぶらぶらさせつつ「ラの音を出すぞ!」と決意します。
そのまま目を開けずに鍵盤を押してみましょう。
ラの音は出ましたか?
まぐれ以外でラが出ることは無いはずです。
では自分の楽器で同じことをしてみましょう。
楽器を構えて目をつむって何の運指をするかどこのキーを押さえるかどの高さの音を出すかは決めず、さあ!音を出してみましょう!
できましたか?
音は出たでしょうか。
もし音が出たなら、何の音が出るかを事前にわかっていましたか?
できなかったよ・・という方はなぜできなかったと思いますか?
「意味がわからなかった」と思った方は、正解です!
何の音を出すか決めないで音楽に使う音を出すのは無理なんです。
ではもう一つ、ラの音を出すと固く決意します。
そしてどんな運指をするかどんなアンブシュアでどんな息で吹くかは決めないで音を出してみましょう。
どうでしょうか。
もしもこれでラが出たらそれはただの偶然です。
音楽を演奏するときはこの高さでこの音質でこのタイミングでこの指で、そういう意図が音を作ります。
それがなければ意味のある音にはならないんですよね。
速いパッセージを吹くときはどの音をどのタイミングで出すか頭でわかっていますか?
もしわかっていなくて指任せ運任せで吹いていたら、さっきの実験と同じことをしているわけです。
そして最後にもうひとつだけお尋ねします。
楽譜があって広くよく知られた名作と言われる曲を演奏する最中、しかも速いパッセージなら雰囲気も盛り上がっていたりお客さんもドキドキしながら聴いている瞬間のはず。
そのときに奏者が突然さっきのバカバカしい実験をやりだしたらどんなことが起きるでしょう。
あなたはこのバカバカしい実験を本番の舞台上でやりたいですか?