身体の動きが増えたら音は良くなって吹きやすくもなるらしい。
それならとにかく動きながら吹いてみよう!
それはそれで有効な場合もありますが、逆にそれだけでは全く音楽的にも吹きやすくもならないケースもあるのです。
なぜかというと身体の動きは表現したいことがあるからこそ必要になるものだから。
「どんな風にフレーズを演奏したいか」というビジョンが無ければ、身体にとっては別段動く必然性がありません。
何をしたいかわからなければ目的のためにどんな動きが必要かもわからないのは当然です。
音楽的な欲求がない状態で身体の動きについてだけ学んでも、残念ながら演奏が良くなったりはしないのです。
・息がもたない
・指がうまくいかない
そんな一見身体についてのお悩みのように感じることにも、「息を長く使えるようになってフレーズを長く歌いたい」「指が快適に動くようになって思うように演奏したい」そんな表現欲求があるはず。
その表現欲求こそが楽器や身体をコントロールして実現したいことでしょう。
それが「身体の動きを良くしたい」という意図にすり替わってしまうと、音楽的な意図とは離れてしまって体操とか運動のようになってしまい、演奏に必要な繊細なコントロールは難しくなってしまいます。
また動くこと自体が目的になってしまえば、本当に心から表現したいとは思っていないために、動きの意図がうまく機能しないという面もあるのです。
音楽のために身体をコントロールしたい場合、その結果どんなことかしたいのかをはっきりさせることは大切ですね。