このトラブルにはこの対処法!という思い込みによる決めつけ指導、実際のレッスン現場ではあり得ませんがSNSや質問サイトなどではよく見かけます。
そんな短絡的思考で上達するならだれも苦労しませんよね。
どこかで誰かが言っていたようなテンプレアドバイスで個別のお悩みは解決しません。
なぜかというと、他人からは同じような問題に見えたとしても人によって原因が違うから。
知り合いの誰それがやって改善したことをそっくりそのまま自分も取り入れてみても、原因が違ったら全く効果が出ないのは当たり前です。
たとえば、出だしのタイミングがいつも遅れてしまいがちな人のパターン。
Aさんは拍子のカウントが苦手で遅れてしまうとします。
その場合は自分の中でカウントできるようにするトレーニングが必要です。
Bさんはカウントは出来るけれど、息を吹き込み始めるときについ胸や肩で力んでしまうために発音が遅れています。
そんな場合は吹き込みに必要な動作や身体の仕組みを確認することが役立ちます。
この二人のパターン、結果として発音タイミングがズレることが問題だとしても原因も対処法も全く違うでしょう。
他にもこういうことはたくさんあります。
奏法もソルフェージュも、「発音が遅れるならこれを気をつければ良い」なんて簡単な方程式が成り立つような単純なことではありません。
メディアの記事や紙上レッスンなど参考にする場合も、身近な仲間に相談するような場合も、また誰かにアドバイスするときにも、解決したいことの見えやすい症状の部分だけでなくそれぞれの原因と対処法も注意を払いたいものですね。