速いパッセージで指回りが上手くできないという場合、もしかしたら指の動かせる場所を勘違いして動かないところを一生懸命動かそうとしているのかもしれません。
たとえば自分の手のひらを見てみましょう。
指の付け根ってどこでしょうか?
実は先端から3番目のシワのよってる部分ではないのです。
手相で感情線と呼ばれる横の線、ここが指の付け根です。
先端から3番目のシワのところは指の骨の途中ですから、そこを動かそうとしたらちょっと不自由な感じがしませんか?
手を横から見たらわかるように、指の動きの起点はここなのです。
それでは本来の関節と見せかけの関節、両方をそれぞれ動かしてみて演奏時の快適さを比べてみましょう!
スピードも動きのストレスも疲れ方も全然違うでしょう。
もうひとつの例を挙げてみましょう。
指回りといえば話題は指に集中しがちですが、手首も指回りに関係しているのです。
バイバイの動き、おいでおいでの動き、これは手首で出来ます。
でも手のひらと甲をひらひらと裏表させる動作、これは手首の動きではありません。
これはひじ関節の動きです。
無意識でうまくいっているときは問題ありませんが、楽器の練習など意識的に動作を行う場合に、動かないところをむりやりに動かそうとすると、人間の身体は優秀ですから構造的に無理でもそれを行おうとします。
でも。
動かないようにできている部分は頑張ってもやはり動かず、ムダに疲れたり痛くなったり、それでもさらに動かそうとすればケガにつながります。
レッスンのときに「指が動きにくい」という生徒さんに「どこを動かそうとしてますか?」と訊いてみると、動かない部分を関節だと信じてそこを動かそうと努力している、というパターンも結構あるもの。
これではいくら時間をかけて練習してもうまくいくわけはありません。
身体の構造を正しく知っているというのは、そういうムダを省いたりケガを防いだりできるという点でとても役に立ちますよ!