有吉尚子です。こんにちは。
今回は音程・ハーモニーのお話です。
音楽をやる上で考えない訳にいかない要素のひとつですね。
ハーモニーを作るときに長3和音なら第3音を少しだけ低めに、なんていうことは
よく言われます。
こういう音程の微妙な操作はなぜ必要なのでしょうか。
もちろん純正律で調和させるためということなのですが、自分の出した音が調和しているかどうかはどうやって知りますか?
本番中、チューナーで測る、なんてわけはありませんよね。
わたしたちは自分の耳で周りの音と比較して調和しているのか、外れて浮いてしまっているのかを知ります。
そのために不可欠なもの、それはアンサンブルする相手。
無伴奏のソロだとしても自分が数秒前に出した音との関連で次をどうするか決めていきます。
音楽の本質はコミュニケーションだと思います。
相手が少しだけ高めの音程で来たら自分だけチューナーで正確な音程を出したら不協和な和音になります。
そんなとき、何を基準に合わせたらいいでしょうか。
楽器の特性やそのときの体調など色々な要素がありますが、基本的には「お互いに寄り合う」というのが大切です。
アンサンブルはどちらが正しいとかどうとかということではありません。
耳をよく使って相手の出方をうかがいあって、動かしやすい方が動かしたり譲り合ったりしながら寄り添い合うのです。
どちらか片方が相手の反応を全く気にしていなかったら、コミュニケーションは成立しませんからね。
相手がどう来たのかを聴き取るための耳の繊細さとそれに反応する技術というコミュニケーション能力を高めるのがソルフェージュです。
チューナーを目で見て合わせた音程は耳ではろくに聴いていないから何度やっても同じところが合わない、なんてことが起きてしまいます。
ハーモニーを作るとき、ぜひチューナーは使わず耳で合わせるという練習をしていきましょう。
最初はもちろん注意して聴いてもわからないということもあるでしょう。
そこで安易にチューナーに頼ったら台無しです。
根気よく繰り返す内にだんだんと聞き取れる情報が増えて、繊細で正確な音程コントロールができるようになっていくものです。
チューナーは自分の音がどういう傾向になりがちなのか、どのくらいコントロールしたらどこまで変えられるか、そういうことを知るためのツールとして使うようにしましょう。
せっかくの生身の相手とアンサンブルできる機会があるならそれを活かしながら耳を育てて行きたいですね。