アレクサンダーテクニーク コミュニケーション レッスン 思考と心 身体の仕組み

指示をしたら悪くなる場合

「こうしなさい」と言った途端に動きが悪くなる生徒さん、今までにいませんでしたか?

有吉尚子です。こんにちは!

生徒さんに新しい奏法や解釈などすすめるときにどんな表現を使っているでしょうか。

実は伝える時の言葉の選び方でその後の動きやすさが左右されることがあります。

脳からの指令で人の動きは制御されているわけですが、動くことに関する指令と動きを止めることに関する指令が同時に出ていると、動作や思考はうまくいかないようにできているそうです。

どういうことかというと、例えば実際にやってみましょう。

1 肘と肩は動いてはいけません。そして手をグーパーしてみましょう。

2 肘も肩も動いていい。そして手をグーパーしてみましょう。

どちらがどんな風でしたか?

動きやすさや疲れ方や動くスピードはどんな風に違ったでしょうか。

見た目の動作としては大した違いはないことなのに、動きの質は全く違いますね。

これが思考が動作に及ぼす影響のひとつの例です。

何か禁止されてることがあると禁止されてないことまでやりにくくなるのですね。

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この些細な違いが演奏中の繊細なコントロールの場面では大きな違いとなって音に表れます。

では冒頭の質問に戻ります。

「こうしなさい」と言われた生徒さんの動きが悪くなる時、何も禁止の指示はしていないのに不思議じゃないですか?

これ、実はその一言の中に禁止の要素が潜んでいるのです。

それは「こうしなさい」と言われたこと以外の動きをしてはいけない、というニュアンス。

「これをやるといいかもしれないから試してみましょう」というのとニュアンスがほんの少し違うのがわかりますか?

使える選択肢が増えたのではなく限定されてしまったのですね。

日常の中でもそういう例はたくさんあります。

お茶を飲まなければならない(飲まないことは許されない)と思って飲むのと、飲んでも飲まなくてもいいけどせっかくだから飲んでみよう、というのではストレス加減が全く違いますよね。

自分のアドバイスで他のやり方の可能性を制限して生徒が不自由にならず、柔軟な思考を持って上達して欲しい先生はどうぞ取り入れてみてくださいね!

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  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 著書『音大に行かなかった大人管楽器奏者のための楽器練習大全』(あーと出版)を2023年8月に発売。Amazon「クラシック音楽理論」カテゴリーにて三週間連続ベストセラー第一位を獲得。 BODYCHANCE認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。管楽器プレーヤーのためのソルフェージュ教育専門家。クラリネット奏者。

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