アナリーゼ 思考と心 音楽理論

センスに自信はありますか?

初めての曲やフレーズを見た時に自分がどう感じるか、この「感じ方」に自信はありますか?

つい誰かの感じ方や解釈を知ってから自分の考えをまとめようとしてはいないでしょうか?

 

それは「自分では正しく理解出来ないのではないか」などと、感じようとするのではなくわかろうとする姿勢があるからかもしれませんね。

もちろん理論を知って、そのガイドに沿って考えるのは大切なことです。

とはいえ理論だけ知っていても、音楽は出来ません。

何かを表現したいなら、「本にこう書いてあるから」「分析するとこうだから」というとこだけでなく、「それを自分がどう感じるのか」という視点が必要です。

出す音が「自分の言葉」でなければ他人に何かを訴えかけることは難しくなるでしょう。

これは一言で「センス」と言われてしまいがちな部分で、生まれつきや才能の話と混同されることが多いもの。

しかしこのセンスや感じ方は天然のものだけでなく、実は訓練や普段の心がけでいくらでも引き出すことが出来るのです。

アナリーゼを学んで着眼点を知るのもひとつの有効な手ですし、心の感度を上げるために異分野の芸術や他ジャンルの音楽に触れるのもとても役に立ちます。

わかろうとするのではなくどう感じるのか、ただただ自分の心を見てみるのです。

その時に誰かのコメントや感想を参考にする必要はありません。

日記や独り言などでもいいので、自分がどう感じたかを言葉にしてみましょう。

そういう自分の心の動きに気づくことの繰り返しで、普段の生活ではフタをしがちな「自分が何を感じるか」「気持ちにどんな変化があるか」、ということに敏感になっていきます。

音楽家は神経過敏だとか感情の変化にこだわりすぎるなどのイメージがあるかもしれませんが、表現をするためにはそういう感覚の繊細さは大切です。

ついでに言うと、感覚が繊細であることと感情に流されやすいのは全く別のこと。

繊細な変化に気がつくようになったら理性的でいられなくなる、ということはありません。

理性的かどうかは、感情をコントロールするかどうかで変わるもの。

心の安定した人は鈍いのではなくコントロールを出来る人です。

良い音楽のためには、演奏技術だけでなく心の感度を上げることも考えていけると良いですね。

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  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 著書『音大に行かなかった大人管楽器奏者のための楽器練習大全』(あーと出版)を2023年8月に発売。Amazon「クラシック音楽理論」カテゴリーにて三週間連続ベストセラー第一位を獲得。 BODYCHANCE認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。管楽器プレーヤーのためのソルフェージュ教育専門家。クラリネット奏者。

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