「この部分はこんな奏法で吹く!」
と事前にちゃんと決めて本番でもそうやったのになぜかうまく行かなかった・・。
結構ありがちですが、事前に決めたひとつの奏法が絶対にいつでも上手くいくなんて都合の良い話はそうありません。
たとえば「こんな奏法で」と決めた時はどんな音響の部屋でしたか?
体調や疲れ具合やお天気はどうでしたか?
気温も湿度もお客さんの入りも自分のコンディションも、「本番の状況と全く同じだった」なんてことはありえません。
何もしなくても人体は空腹になったり満腹になったり年を取ったりなど変化していますし、気候も変わり続けています。
そもそもの話、同じことは二度とできないのです。
できるのは常に試し続けることだけ。
「この練習室で、仕事終わりでちょっと疲れてる今日は、こんな風に吹いたらどんな音がするかな?」
「本番前のゲネでドキドキしてる今、音響の良い大きなホールでこう吹いたらどうなるかな?」
そんな風に好奇心と挑戦心を持って演奏に臨めば、もしもそのアイデアで上手く行かなくてもすぐにプランBに切り替えられるでしょう。
そうすれば「こんなはずじゃなかった・・!どうしよう?!」とオタオタすることだって避けられます。
「こんなはずじゃない」の積み重ねが経験であり、その積み重ねからとっさの場面での選択が洗練されていくのです。
そして失敗の経験数に比例して成功の経験数も増えていくでしょう。
また「試したものが上手く行って面白いから色々な状況で何度もトライして再現性を確かめてみる」というのも、ひとつの建設的な実験です。
もしかしたら練習のときに「これなら絶対安心!」と思う奏法を見つけたときは、要注意かもしれませんね。