楽器演奏のときに使う身体のこと、知ってはおきたいけれど細かい筋肉や骨の構造を学ぶのはめんどうくさいですよね。
私もアレクサンダーテクニークを学び始めた頃に「解剖学までやるのはめんどくさい」と思っていました。
実際のアレクサンダーテクニークのレッスンでは単純に人体の構造をレクチャーするようなことはほとんどありません。(そういうのを希望する受講者がいた時は取り上げることもありますが)
実際にやりたい動作に役に立つことのひとつの選択肢として、「この関節も動けますよ」などの提案されているうちにだんだん詳しくなっていくものです。
とはいえ人によっては知らなくても問題なく使える場合もあるので、誰にでも必ず必要な情報というわけではないでしょう。
それでも関節の動き方や筋肉の仕組みを知らないために楽器演奏が不自由になってしまってる場合には役に立ちます。
例えばクラリネットの開放ラのキーを指の動きだけで押そうとすると大変だけれど、ヒジの回転を使うと簡単です。
知っていればどうということのない動きが、単に知らないためにやりにくくなるのはもったいない。
こういうことを実際に体験してハッとしたら、わざわざ覚えておこうと頑張らなくても無意識で使えるようになってしまいます。
それが知識を使えているという状態。
そういう小さな動きのアイデアを生徒さんや楽団仲間に提案できるようになるためには、感覚では個人差がありすぎて再現性が低いし、イメージでは伝わりにくい。
やっぱり解剖学の知識があると便利なのです。
また、専門用語は難しいようなイメージがあるかもしれませんが、教わった人が後でネット検索や文献で更に知りたくなったときに調べるのにも便利なので、名称を教えてあげるのは親切でもあります。
机上の空論ではなく実際の動きを伴って音を出しながら解剖について詳しくなるのは、やってみると意外に面白いものですよ!