アレクサンダー・テクニーク 思考と心 本番 練習

緊張する本番の前にやりたい7ステップ

演奏者の心のトレーニングって指や呼吸などフィジカル面、読譜や解釈など音楽面の準備と同等またはそれ以上に大切。

かといって演奏家の専門のメンタルトレーニングコーチなんてあまり聞いたことがないし、多くは普段の楽器の先生から参考程度にお話を聞く程度となってしまいがちなこの分野。

もっと体系的に誰でも学べる機会が増えていったらいいなと思います。

今回は参考としてクラリネット奏者であり筆者がやってみて効果のあったひとつの手順をシェアしたいと思います。

緊張を使いこなす方法

とある大きな本番のときにきっとドキドキするだろうと思って練習でもそれを想定したドキドキ対処法を練習していたことがありました。

そのときに手にしたのは

ドン・グリーン著
辻秀一監訳
「ジュリアードで実践している演奏者の必勝メンタルトレーニング」

ソプラノ歌手とホルン奏者の若い二人の演奏家が大切な本番やオーディションを乗り切って成果を出すためにどんな手順で心のトレーニングをしていくのかが書かれていてとても興味深い一冊です。

緊張して走ってしまったり興奮しすぎてしまう傾向があるソプラノ歌手。

そして慎重になりすぎたり考えすぎてしまう傾向があり思い切ってアピールするエネルギーをもっと使いたいホルン奏者。

この真逆に感じられる二人を導くのが著者でコーチのドン・グリーンさん。

例えば階段を何度も上り下りしてドキドキした状況を作ってから呼吸をこういう風にして気持ちと身体をコントロールする、なんて具体的でわかりやすく読んでいるわたしたちもすぐに実践できるようなアイデアが満載。

どの段階でどんなトレーニングが必要でどんな効果があるかを若い奏者がオーディションなどにチャレンジして人生を切り拓いていくストーリー仕立てで書いています。

大切な本番がある前に読みながら一緒に実践していくといつもの本番とは違った心のコントロールを体験できて面白いかもしれません。

本番1ヶ月前くらいから少しずつ読んでみるのがオススメですよ!

今回ご紹介するのはこちらでで取り上げられていた方法で、とても効果的に溢れ出るエネルギーをコントロールする方法だなと感じたので一部シェアします。

これは本番のステージに出る前や楽屋で準備しているとき、また練習していて緊張してきたときなどどこでも役立つアイデアです。

道具なども必要ないし大体1分もあれば終わるのでお手軽なところも便利ポイント。

本で紹介されていた方法にわたしは個人的なアレンジをして大きな本番やオーディションなどネガティブになったり思考が入り乱れて混乱したりなんてことが起きそうな心のコントロールが必要な場面で使っています。

どんな方法かというと、7つのステップで出来ていてこんな手順で行います。

 

7つのステップで嫌なドキドキを使いこなす

1.目的の明確化
2.フォーカスポイントを決める
3.腹式呼吸
4.身体の強張りを解除
5.自分の中心を見つけ、自分を中心に据える
6.プロセスキューを唱える
7.フォーカスポイントに向かって息を吐き出す

ではひとつひとつ解説してみます。

1.目的の明確化

たとえば「自分はソリスト」「クラリネット奏者」「エンターティナー」「お客さんと一緒に遊ぶ人」などなど自分が納得行く言葉なら何でもいいのです。

自分はどういう人としてそこにいるのかを再確認します。

そして何のためにこれから演奏するのかを思い出します。

曲の楽しさを味わうため、作品の魅力を紹介するため、頑張った成果を披露するため、これも色々あるでしょう。

目の前のステージで何をしに来たのかを再確認します。

2.フォーカスポイントを決める

フォーカスポイントというのは楽譜以外に演奏中に見る場所でもありそこに向かって音を出す場所であり混乱して迷ったときにそこに意識を向ける場所でもあります。

暗譜の本番など目のやり場に迷うようなときに頼りになるかもしれませんね。

そして「どこを見たらいいか迷う」という無駄な思考を不要にさせる良いアイテムだと思います。

具体的にホールの中のどんな場所を選ぶと良いのかは本の中身を読んでみてくださいね。

3.腹式呼吸

この本の中では場面と段階に応じていくつかの呼吸法が紹介されています。

どんな風に呼吸するといいかも紹介されていますが、わたしは個人的に腹式呼吸というのはあまりしっくりこないワードなので「呼吸していることを思い出す」または「深呼吸する」というのが自分に合うかなと感じています。

4.身体の強張りを解除

これも本の中でどんな風にやるか具体的に書かれていますが、アレクサンダー・テクニークの方がわたしには慣れていてやりやすく効果も高いのでそっちを使います。

5.自分の中心を見つけ、自分を中心に据える

これはなんのこっちゃですよね。

自分の身体の中心はどこなのか思い出して身体を効率的に使うというのが「自分の中心を見つけ」の部分。

「自分を中心に据える」というのはそれと同時に世界の中心に自分がいることを思い出すということだそう。

他人に左右されたり誰か他の人のためじゃなく、自分のために自分で責任を持って演奏することを思い出すこと、という風に書かれています。

演奏だけでなく人生全てに入れることなのかもしれませんね。

6.プロセスキューを唱える

これは演奏という動作を通して自分が何をするのかを言語化して明確にすることだそう。

ステージ上で何をするのかわからなくなったりドキドキして混乱したときにその言葉を思い出すことでエネルギーをそちらに向けて効率的にアドレナリンを使うためにとっても役立ちます。

7.フォーカスポイントに向かって息を吐き出す

1−6でやってきたプロセスをここで統合します。

2番目で決めたポイントに向かってこれから演奏に使う身体の状態で6番で思い出した言葉を心の中で唱えながら息をフーっと吐きます。

これだけ。

慣れていたら全部やっても30秒もかからないかも。

パフォーマンスが格段に良くなりました

もちろんこの7ステップは練習段階から繰り返しやって本番前までには慣れていないと使いようがありません。

これ自体も練習しておく必要はありますね。

とはいえこの7ステップをやると気分が変わって集中が高まり身体も動きやすくなるので本番前にすごく使えるなと思います。

さらにこの7ステップを自分なりに理解して組み立てるという過程で思考が整理されるのでそれも緊張しそうなときに助けになる一つの効果ですね。

わたしは本番での演奏の最中にさらにアドレナリンが出て興奮したときにそれまでなら「あ、スピードが上がっちゃいそう」「変な間違え方するかも」と思ってしまう瞬間がありました。

でもこの7ステップをやってから「これはアドレナリンが余っててもっとエネルギーを使った方がいい。じゃあもっと強いプロセスキューが必要だ!じゃあこの言葉だ!」と考えられるようになって演奏により集中できるようになりパフォーマンスも上がったのを実感しています。

とっても面白いのでぜひ取り入れて見てくださいね。

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  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 BODYCHANCE認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。

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