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個性的と奇をてらうの違い

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楽譜の通りに演奏したら自分の個性やオリジナリティが出せない、そんな意見を耳にすることがたまにあります。

有吉尚子です。こんにちは!

アドリブが必要なものだと楽譜はリードシートなんて呼ばれて曲の大枠だけを示したものなので、そのままやっても確かに面白くないでしょう。

それにバロック時代や古典の作品は即興的に装飾を入れたりカデンツァを自分で作ったりすることが求められていてその余地を残した楽譜の書き方をされてることもありますね。

反対にちゃんと書き譜になっていてアドリブで音を選ぶ必要のない曲は楽譜の細部に至るまで作曲家が伝えたかったことですから、勝手に音を変えたりするのは作品への冒涜になってしまいます。

ではそんな中でも出てくる奏者によっての違いや個性って、どこから来るんでしょうか。

和声や旋律によって示されている盛り上がりや落ち着きやその他色々なグラデーションの色合いなどはそんなに解釈によって大きく変わるものではありません。

con fuoco(火のように激しく)と作曲家が書いたのを「オレの解釈はこうだ!」なんてmorendo(死に絶えるように)にするというようなのは解釈の個性なんてものではありませんからね。

それでも例えばどんな落ち着き方なのか盛り上がり方なのか、変化させる度合いはどのくらいか、どの声部を際立たせるか、なんて考えると同じ楽譜を同じように読んでいても表現は無限に違って来ます。

わざわざリズムを崩して書いてある音よりも長く伸ばしたりテンポをとんでもなく速くしたりなんていう奇をてらうことはしなくても充分違いは出てきます。

「自分の個性を出そう!」「わたしはどの曲もこうやるのがトレードマークなんだ!」そんな風に考えなくてもひとそれぞれ考え方や話し方が違うのと同じように自然と出てくるものではないでしょうか。

それを意図的に作品を歪ませて奇をてらうようなことをしてしまうと「この人の演奏はなんだか変だな」なんて印象につながるのではないかと思います。

作品を通して自己主張がしたいのかそれとも作品の良さや魅力を聴く人に伝えたいのか、個性について考えるときには心に留めておきたいことですね。

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有吉 尚子

有吉 尚子

クラリネット奏者。 栃木県日光市出身。 都立井草高等学校卒業。2007年洗足学園音楽大学卒業。2009年同大学院修了。 クラリネットを大浦綾子、高橋知己、千葉直師の各氏に、室内楽を平澤匡朗、板倉康明、岡田伸夫の各氏に師事。 ミシェル・アリニョン、ポール・メイエ、アレッサンドロ・カルボナーレ、ピーター・シュミードルの各氏の公開レッスンを、バスクラリネットにてサウロ・ベルティ氏の公開レッスンを受講。 受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。 及川音楽事務所第21回新人オーディション合格。 2010年より親子で聴ける解説付きのコンサ-ト「CLARINET CLASSICS」~クラシック音楽の聴き方~をシリーズで行う。 2015年、東京にてソロ・リサイタルを開催。 オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動を行っている。 また、ソルフェージュや音楽理論、アレクサンダーテクニークなどのレッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 音楽教室N music salon 主宰。

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