楽典はやった方が良いとよく言われますが、実際にやってみると実際の演奏では何の役に立つのかわからないようなこともあるでしょう。
例えば完全五度とか長三度とかいう音程のインターバルについて。
音大受験生はただひたすらパズルの様な感覚で「この音の組合わせは完全何度…」などと楽典問題を解いていくもの。
ですが試験を受けるわけでもない大人奏者は楽典の問題が解けたからって一体何の役に立つのでしょうか。
実はこれ、ちゃんと役に立ちます。
楽器が手元に無い方はスマホアプリででも、ぜひ一緒に試してみましょう!
例えば「ドとオクターブ上のド」の組合わせと「ドとオクターブ上のド#」の組合わせ、それぞれ2つの音を同時に鳴らしてみましょう。
どっちが濁ってますか?
もちろんド・ド#の組合わせが濁っていたはずです。
片方が隣の音にずれただけなのに、改めて考えると不思議ではないでしょうか。
音はお互いの組合わせで響きが変わります。
そしてそれが和音というもの。
どうして濁ったり澄んだりするかというと、各音の周波数比によるのです。
ややこしいので覚えたりする必要はありませんが、簡単に言ってしまうと、比率がシンプルだと響きが澄んでいて、比率が複雑だと濁って聞こえるということ。
そして先程の「ドとオクターブ上のド」は楽典では完全八度といいます。
「完全」という言葉が付く音程は、比率がシンプルなのでどちらかというと澄んでいます。
「ドとオクターブ上のド#」は増八度といいます。
「増」とか「減」という言葉が付く音程は、比率が複雑なので濁って聞こえることが多いもの。
長・短はそれぞれ度合いが違いますが「完全」ほど透き通ってもいなくて「増・減」ほど濁ってもいない、グラデーションの部分です。
こういうグラデーションによって色々な表情が作られるのです。
それが楽譜を見たときに直感的にパッとわかるようになるのが、楽典を学ぶメリットです。
そもそも濁っている場面なのか、ただ単に同じ音の人と音程が合ってないだけなのか、見分けられたらアンサンブルの練習をするのに便利でしょう。
それに濁っている場面は盛り上がりのことが多いので、澄みきった落ち着いた雰囲気の場面とは演奏の仕方も違ってくるはず。
演奏にちゃんと具体的に役立つしたった一冊の本で楽典はおしまいですから、一度くらい音を出して書いてあることを試しながら読んでみるのもおもしろいですよ!
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