子馬くらいの大きさで水玉模様でふかふかしたピンク色の象を思い浮かべないでください。
どうでしょう。
ちゃんと思い浮かべないでいられましたか?
無理ですよね(笑)
これはアレクサンダーテクニークの界隈でよく使われる表現で、「否定形は脳に通じにくい」ということの例えです。
人間の脳は否定形の言葉をまず肯定系で認識してから、「それをしない」という自分への指示に置き換えます。
あなたは冒頭できっとピンクの象を瞬時に思い浮かべて、それから思い浮かべるのをやめようとしましたよね。
「リードミスをしないぞ!」と強く思うほどやってしまったり、「指を間違えないように」、「音を間違えないように」、と思うほど間違えたりする、それも同じことです。
もちろんわたしたちは否定形の表現も理屈で理解することはできます。
しかし否定形の思考というのは起こってほしくないことをまずは思い浮かべ、身体は瞬間的にそれを準備してしまいます。
そしてその後で否定してブレーキをかけているのだそう。
なんだかプロセスにムダがある気がしますよね。
しかも思考のスピードってものすごく速いので「このことについて考えない」という思考を持った瞬間、もうすでに考えてしまっているのです。
「考えない」という思いが「考えてしまう」という逆の効果を生むという事実。
なんとややこしいこと。
演奏中、テクニックの難しい箇所に差し掛かった時にどんな思考が湧いてきますか?
「ここ難しいんだった」「失敗するんじゃないか」、そういう風に瞬間的にでも思うと、そのイメージを強化してしまうことになるそうです。
なので例えば「失敗しない」ではなく「成功する」という思考に変えてみるとどうでしょう。
「間違えない」ではなく「出したい音を思い浮かべる」という言い換えも有効ですね。
ネガティブワードの入った思考の代りにその箇所を切り抜けるために「何ができるか」を具体的に考える習慣をつけると良いかもしれません。
やりたくないことではなくやりたいことを明確にする、とてもオススメですよ!