音楽の本質はコミュニケーション
何度も言っていますがこれは楽譜を読むということにも当てはまります。
有吉尚子です。こんにちは!
楽譜にはどんな音をどんな風に演奏して欲しいのかが書かれているので、作曲家とのコミュニケーションと言えるのではないでしょうか。
ここで書かれていることというのは、音符や強弱や発想記号だけではありません。
例えば。
バロックや古典の時代の作曲家は、奏者が自由にアドリブで華やかに装飾してくださいよ、という意味を込めて音を詰め込みすぎないシンプルな楽譜を書いています。
逆に近代フランスの作曲家は書いてあることを全部やってくれたら作品が完成するようにと細かな指示がたくさんされています。
そういう意図を無視してバロックや古典の作品を書いてある音だけを演奏する、
近代フランスの作品で書いてない音を付け足す、
なんてことをしてしまうと書いた人の意図とは全然違うことになってしまいます。
こういう時代背景だけでなく、濁った音から透き通ったクリアな和音に解決するところではホッとした帰って来た感じで演奏して欲しいとか、濁った音が長く続くところでは緊張感を高めて欲しいとか、和声でも意思表示がされています。
また旋律の音形でもたくさんの跳躍がある場面では躍動感や揺らぎを、近い音への半音進行が多い場面では雰囲気の繊細な移り変わりや調性感の薄まりを、などなど色々やって欲しいことが読み取れますね。
アナリーゼなんてめんどくさい!
というのがアマチュアの方のほとんどなので、そういう音楽の分析は先生に任せきりだったりします。
限られた趣味の時間で効率的に向き合いたい、ということならもちろんそれでも悪くはないでしょう。
でも簡単なアナリーゼのアイデアを得て自分でどうやりたいか考えることができたら音楽をするのがずっとずっと楽しくなるのではないでしょうか。
ドミソよりもシレソの方に緊張感を持ってみよう、なんていうシンプルなところからでもただ単に「ここは大きく、ここは静かに」なんて指示を丸飲みするより自主性を持って音楽を作るきっかけになります。
「この音はどうしてひとつ前より大きく書いてあるのかな?」
なんて考えてみるだけでも、作曲家がなんでそう書いたのか興味が湧いてきますよね。
アナリーゼは難しいからわかる必要はない、なんていうのはちょっともったいないですね。
もし「自分は分析はできる!」なんて方は噛み砕いてわかりやすく表現するというのも仲間と音楽を共有するためのスキルのひとつ。
ぜひそういうことにもチャレンジしてみませんか?