アレクサンダーテクニーク 思考と心 本番

ミスがないのがいい演奏?

 

 

「間違えないように」「ミスをしないように」そんな風に考えて演奏しようとするのはおすすめではありません。

なぜかというと、間違えなければ「良い演奏」になるわけではないし、ミスが出ないことが目的でもないから。

第一ミスをしないことだけを目標にしていては、エネルギーの低い覇気のない演奏になるだけでしょう。

それに、確実にミスをしない方法は一つだけあります。

それは「演奏しようとしない」こと。

失敗したくないからチャレンジしない。

怪我をしたくないからスポーツはやらない。

それなら新しいチャレンジによる成果やオリンピックの新記録は出ないでしょうが、ケガなく安全に過ごせるのは確かです。

でも演奏の時にはそんな風に無難にやり過ごしたいわけではないでしょう。

楽でもないし辛いことも多い演奏をわざわざするのは、間違えないためではありません。

好きな曲を紹介したいとか、楽器の魅力を伝えたいとか、頑張りを見てほしいとか、何かしらの肯定的な意図があるはず。

その肯定的な意図を実行しようとする動作、それが「良い演奏」を作るのです。

人間の身体は否定形の言葉ではなく肯定形の意図で動いています。

良い演奏をしたければ、間違えない代わりに何をしたいのかを明確にする必要があります。

そのときに何をしたいのかアイデアが湧かない人のために、楽譜というものがあります。

楽譜にはたくさんの表現のヒントが詰まっており、読む人の読譜レベルに応じて様々な情報を提供してくれています。

「良い演奏」のためには楽譜から音楽を読み取って、それを表現したいという気持ちを持つことがスタートライン。

その表現欲求を満たすための動作にちょっとしたミスが紛れ込んだとしても、それで演奏の魅力を損なうことはないのです。

「間違えない」は「良い演奏」とは違うということ、頭の片隅に置いておきたいものですね。

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  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 著書『音大に行かなかった大人管楽器奏者のための楽器練習大全』(あーと出版)を2023年8月に発売。Amazon「クラシック音楽理論」カテゴリーにて三週間連続ベストセラー第一位を獲得。 BODYCHANCE認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。管楽器プレーヤーのためのソルフェージュ教育専門家。クラリネット奏者。

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