アナリーゼ ソルフェージュ 思考と心 音楽理論

テクニックで音楽性のなさをごまかす

 

シンプルな曲を演奏するとき、テンポを速くするのとゆっくりにするのはどちらが大変だと思いますか?

一見テンポが速い方が難しくて、ゆっくりの方が簡単そうに感じられるかもしれません。

でも。

ゆっくり間を取りながら、小さな揺らぎを入れながら演奏するには、作品やひとつひとつの音がどんな風に変化することを求めているかをわからないといけません。

緩んでいきたい場面なのか進んでいきたい場面なのか?

音量の変化や抑揚や音色はどんなものが合うのか?

会場内の響きはどんな風なのか?

聴いているお客さんの反応はどうか?

そんなことにもアンテナを張って、ものすごく頭を使わなければシンプルなものを魅力的に聴かせることはできません。

反対にテンポを上げてテクニックを見せつつカッコよく、というのはそんなに考えなくても練習さえすれば意外に簡単にできてしまいます。

だから音楽的に聴かせることができない場合に、ただ単純にゆっくりしてしまうと間が持たないからテンポを上げたくなるのです。

「ついついテンポが走ってしまう」というケースも、どれくらいの間を取るのが適切なのかを自分で判断できないから間を持たせるために速く進みたくなってしまうという面もあるのではないでしょうか。

そんな演奏だと聴いてる人には何が伝わるでしょう。

「楽しそう」「いい曲だな」という感想よりも「大変そう」「難しそう」と思われてしまってはちょっと残念ですね。

安易にテンポを上げてテクニックでごまかすのではなく、音楽そのものを演奏した方がずっとっずっと楽しいものですよ!

完全無料

*ezweb・vodafone・softbank.ne.jp・hotmailからのご登録の場合、文字化けやメールの配信エラーが大変多くなっております。恐れ入りますが、それ以外のアドレスからご登録をお願いいたします。

  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 著書『音大に行かなかった大人管楽器奏者のための楽器練習大全』(あーと出版)を2023年8月に発売。Amazon「クラシック音楽理論」カテゴリーにて三週間連続ベストセラー第一位を獲得。 BODYCHANCE認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。管楽器プレーヤーのためのソルフェージュ教育専門家。クラリネット奏者。

-アナリーゼ, ソルフェージュ, 思考と心, 音楽理論

Copyright © 2022 聴く耳育成協会 All Rights Reserved.