「長短音程とか完全音程という名前は聞いたことがあるけれど意味はわからないし見分け方もわからない」「演奏するだけなら関係ないと思って今までスルーしてきた」
今回はそんな方のために音程について簡単に解説してみます。
そもそも音程って何?
音程という言葉自体が少々あいまいに取り扱われがちですが、例えば「音程が合っている、ずれている」という時には2つの音のピッチが調和した響きになっているかどうかの文脈で使われます。
対して楽典やアナリーゼの文脈で「音程」という時には二つの音の距離がどれだけ離れているかを指すことがほとんどです。
この違う話題の2つを混同してしまうとややこしいのでまずはそこを整理しておきましょう。
長短とか完全って何?
完全◯度、長◯度、などの言い方をするときに頭につけられる「完全長短増減」など、これは2つの音を組み合わせた時にどんな印象の響きになるのかをあわらしています。
例えば完全◯度というのは長短音程よりもハーモニーとして合ったときのぴったり感というか透き通り感が強いもの。
より濁りのないクリアなハーモニーに聴こえるのが完全系の音程です。
逆に完全音程に比べて少し濁りが感じられて色彩感が出やすいのが長短の音程。
ピンと来なければピアノやピアノアプリで試しに音を出してみましょう。
完全8度であるオクターブ違いの2つのドの音の組み合わせを鳴らしたときに聴こえる雰囲気は透き通っているでしょう。
【完全8度】
そして長3度であるドとミの組み合わせでは、さっきよりも透き通り感は少ないけれど明るい音がするのではないでしょうか。
【長3度】
ついでに短3度であるドとミ♭も鳴らしてみましょう。
【短3度】
こちらも完全音程ほどは透き通っていませんが、少しだけ切なげな色合いを感じますね。
これが完全系の音程と長短系の音程の違いです。
では増音程であるドとファ♯を鳴らしてみましょう。
【増4度、減5度】
どんな印象ですか?
美しく透き通ってると思った方はいないはずです。
増音程とか減音程はここではとても濁ってる組み合わせと思っておけばひとまずOK。
このように音程の仕組みがわかってると楽譜を見ただけでどんな雰囲気のハーモニーなのか旋律の進み方なのかがわかります。
楽典って役に立ちますね!
演奏するときに何を変える?
「でも理論がわかっても演奏にどう活かせばいいかわからない」
そんな声も聞こえてきそうです。
例えば「ドとミ」の響きと「レとファ」の響きを聴き比べてみましょう。
「ドとミ」のときの方が明るい印象で、「レとファ」のときの方が少し柔らかく感じたのではないでしょうか。
この印象の違いは「長三度」と「短三度」の違いです。
音の距離には名前がついていて、その名前は一緒に鳴ったときにどんな印象の響きになるかを表してます。
だから理論がわかって楽譜を見ている演奏家は「ドとミ」のときと「レとファ」のときは音色やニュアンスも変えるもの。
それが楽譜を読むということ。
楽典はそんなことができるための知識を身につけさせてくれるのです。
ただ机上の空論で役に立たない理屈をこねているマニアのためのものではありません。
音でなにか表現したいと思うすべての人が基礎として知っておきたいことですね。
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長短系と完全系の見分け方
各度数によって出来る音程には完全系と長短系があり、これは臨時記号などで高さが変えられても影響しないもの。
シンプルに1度・4度・5度・8度が完全系でそれ以外は長短系と覚えるのが簡単でしょう。
この数字部分は基準になる音から数えて何個分の距離なのかを表しています。
ということは例えばドとミならドレミなので3度。
3度なら長短系なので長3度か短3度のどちらかだな、とわかります。
長短増減の見分け方あれこれ
長音程の見つけ方
ドの音を起点として高い方に向かって度数を数える時、「完全系は完全、長短系は長になる」という法則があります。
例えば基準の音がレでラまでの距離を知りたい場合、レミファソラと5個の音があるので5度。
5度というのは完全系の音程なので完全5度、ということ。
このルールにしたがって完全5度には半音と全音が何個なのか、長3度には半音と全音が何個なのか、と考えていくとド以外の音を基準にしても簡単に数えることができます。
短音程の見つけ方
ではもうひとつ、長音程の数え方はわかったので短音程についても考えてみましょう。
短音程は長音程よりも半音ひとつ分だけ狭いもの。
長音程の全音半音の数を把握していたら、そこから半音一つ減らしたものが短音程です。
そんな風に把握している情報と照らし合わせて考えると簡単なのでおすすめです。
鍵盤からイメージするインターバル
人によって理解しやすいパターンは違うので、別の角度から鍵盤からイメージするインターバルの法則性もご紹介します。
この法則と1、4、5、8は完全系、 それ以外の2、3、6、7は長短系ということを考え合わせるとインターバルを正確に把握できるでしょう。
鍵盤からイメージするインターバルの法則
・3度までは全部が全音なら長音程
・4度以上は半音が1つ入っていたら長音程または完全音程
・4度以上で半音が2つ入っていたら短音程または減音程
・4度以上で半音が1つも入っていなかったら増音程
・3度以下で半音が1つ入っていたら短音程
・1度と8度は同じ音やオクターブなら完全音程、それより半音広ければ増音程、半音狭ければ(8度の場合のみ)減音程
書き出してみるとたくさんある気もしますが、この法則を知っておくのも一つの方法かもしれません。
最後に
この記事だけ読んで「わかったわかった」なんて思ってもきちんと身についてはいません。
自分で楽典の本を読んでみるのは大切です。
とはいえ楽典やアナリーゼは文字や言葉にするとややこしく面倒臭くなりがちでわかりにくいもの。
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