音楽理論やソルフェージュはめんどくさいしよくわからないしまあそのうちでいいや。
そう思われてしまうつまらないパズルのような机上の空論ではなく、演奏中に今すぐ使えるアイデアとしての基礎スキルの学び方もあるのです。
演奏に繋がらない音楽理論
音楽大学のカリキュラムは、和声学、対位法、ソルフェージュ、音楽史、民俗音楽学、楽曲分析法、作品研究法、その他たくさんの科目があります。
学生は卒業単位のために一応ひと通りやりはするものの、あまり熱心に聞いていなかったりサボってしまったりで卒業した時には何も覚えてない!というパターンはとても多いもの。
そして実際の仕事現場で「もっとまじめにやっておけば良かった・・」なんて後悔したり。
これは音大生がアホだという話ではありません。
せっかくたくさんの時間とお金をかけて学んでいるのになぜそんなもったいないことが起きてしまうのでしょうか。
科目細分化の弊害
これは考えてみると当たり前のことで、科目があまりにも細分化しすぎて「演奏家になりたい!」という強い想いを持って学びに来ている学生にはすぐに使えるものとして認識できないことが大きな原因です。
何の役に立つかわからないものを練習やレッスンや、すでに仕事をしていたらそのリハや本番などめちゃくちゃに忙しいスケジュールの合間に意欲的に学ぼうとは思いません。
日々忙しい社会人なら「いつかそのうちやろう」と思ってることに着手することがまず無いのは経験済みでしょう。
そしてそれは中高生や大人のアマチュアの方も同じですね。
音楽理論やソルフェージュをやる必要があまり感じられない、という方はとても多いです。
それはそのはず、実際の演奏にどう役立つかわからないことは別段今すぐ身に付けようとは思わなくても当然です。
しかし音楽をやる上で知っておいた方が練習も楽になり、譜読みも早くなるようなことはたくさんあるもの。
音楽は楽器の扱いの訓練だけでは成り立たず、基礎の知識やスキルがあることによって楽しさを深めていけるものですから。
それなら忙しい大人がめんどくさくない方法で手っ取り早くそういった基礎スキルを身につけられる方法があると良いですよね。
実はあるのです。
生きた音楽理論として学ぶ
スケールやアルペジオや和声学、対位法、音楽史、その他たくさんの基礎スキルを学ぶ方法として、フランスの音楽院などで近年取り入れられている手法にフォルマシオン・ミュジカルというものがあります。
作品を丁寧に見たり、ひとつひとつのスキルを確実に伸ばすために要素を分けたり、というのはもちろん必要なことです。
とはいえ日本の音大ではありがちな細かく分けられた要素を再統合する作業は生徒の自主性に任されていて、生徒たちはどう再統合したらいいかわからないままほったらかす・・・ということが起きないように、音楽作品の一部分を抜き出して聴音や視唱や和声学や分析の素材に使おう!という考え方です。
そうすると学んだ理論や基礎スキルがどう実際の演奏で活きるのか一目瞭然になるのです。
これなら忙しい大人プレーヤーや試験や部活や受験に追われる中高生のレッスンでも活かせるアイデアではないでしょうか。
「できた!」「変わった!」の実感を大切に
普段オーケストラや吹奏楽をやってる生徒さんなら、そのままそのときやってる曲を素材に使ってしまうことも可能です。
そうでない生徒さんなら、映画音楽や有名なアニメ作品のサウンドトラックなどでもアナリーゼやソルフェージュを行うことは充分可能です。
クラシックの本格的なお勉強はちょっと・・・という方も「この映画見た!知ってる!」そういう旋律が素材だと楽しく取り組めて、いつの間にかモーツァルトの旋律の和声分析が軽々とできるようになってることに気が付いて驚いたりということも。
「できる!」「わかる!」「やったら変わる!」という実感を一度味わえたら、それが楽しくなってどんどん色んな素材にチャレンジしたくなるもの。
車の運転をされる方は免許が取れたら運転してみたくなったときのこと、覚えているでしょう。
そうやってスキルアップの入口を作るレッスンを、当教室では大切にしていきたいなと思っています。