ある著名なプレーヤーの来日コンサートの感想で、ある人は音色が素敵だったと言い、別の人は音色は特に気にならずそれよりもリズムのキレがすごく良かったといいました。
どんな演奏だったのでしょうか。
これはホールの場所によって聞こえ方が違うということだけでなく、みんなそれぞれがその人のフィルターを通して他人の演奏を聴いているから起きる違いです。
音程だとかリズムだとか表面的なことばかり気になってしまって、さっぱり音楽が耳に入ってこないという体験をしたことはありませんか?
どんなところに注意して音楽を聴くかという教育を受けた経験のない多くの人は、自分がたった今取り組んでいることだったりコンプレックスだったり、そういうところに意識が行きやすく気になるポイントが拡大されて聴こえる意識のフィルターを持っています。
それは別に悪いことではありませんが、わざわざコンサートに行って生で演奏を聴く目的って自分の気になるポイントをその人がどうやってるのか知るだけではなく、音楽そのものに触れたかったり思ってもみなかった刺激を受け取りたかったりなどあるでしょう。
どこにどんな風に注意を払って聴いたらいいか。
それはひとことで説明できるものではありませんが、ハーモニーを合わせるときにどこに注意を向けるか、音楽を組み立てるときに何を大事にするかなどを学んでいくと身について来るものです。
だからコンサートの感想ひとつでその人がどんな耳のレベルかわかってしまうのですよ。
そんなことを言われると感想を言うのがコワイ気がしてしまうかもしれませんが、良い先生は事前にそのコンサートで注意して聴くポイントを教えてくれたり、感想として出てこなかったことも「ここはどんな風だった?」と引き出してくれたりします。
わたしも音大受験時代に当時ついていた先生のコンサートにいき「ここはどんな風に思った?」なんて終演後に尋ねていただいてなるほど、そこに着目するのか!というヒントをたくさんいただいたことをよく覚えています。
あなたはコンサートに行ったとき、どんなことが気になっていますか?