アレクサンダーテクニークを体験してみたいけれど東京にはなかなか気軽に行けないし・・という方のために、今日は自分で出来る体験方法をご紹介いたします。
まず最初に、アレクサンダーテクニークというのは脊椎動物全てに共通の身体システムをよりよく使うための方法です。
日本ではまだあまり認知されていませんが医学的にも裏付けのされている理論で、イギリス・オランダ・ドイツなどヨーロッパの国々では診断書があればアレクサンダーテクニークのレッスンを受けることに保険が適用されています。
「管楽器以外の人には関係ない」なんていう小手先ものではなく、人間として生活の中で行う動作全てに共通する身体の仕組みの使い方であり、このメール講座ではそれを楽器演奏に直接的に役に立つ形にアレンジしてお伝えしています。
原理が理解できて実際の使い方がわかったら、ぜひ色々な場面で応用してみていただけたらと思います。
ではまずアレクサンダーテクニークの原理の説明からいたしましょう。
頭の一番下の部分と脊椎の一番上の骨が接する環椎後頭関節(名前は覚えなくて全然OK)がムダに力んで頭が脊椎を下方向に押し下げる圧力をかけているときと、
それが自由に動けるように周辺の筋肉が緩んでいるとき、
この二つの状態の時に人間の身体はちゃんと機能するかそうでないかの違いが生まれます。
この頭と首を繋ぐ筋肉にわたしは勝手に「違和感センサー」という名前を付けていますが、その名の通り収縮して動きを引き起こすという機能だけでなく、身体のバランスが傾いていたりどこかに無理がかかっていたりする」という情報をキャッチして脳に送る役割も担っています。
(後頭部から見た図↓)
この違和感センサーの筋肉がむだに力んでいると、センサー機能がちゃんと働きません。
すると身体からの「この動きを続けると怪我するよ」「物理的に不可能だからこれはできないよ」というサインである痛みや違和感の情報を脳がキャッチできなくなってしまいます。
そして無理な動きや姿勢を続けてケガをしたり不具合を引き起こしたりということに繋がるのです。
それでは違和感センサーをONにするためにはどうしたらいいのでしょうか。
実は「要らない余計なことをしない」ということでしかこのセンサーをONにすることはできないのです。
試しにやってみましょう。
多少転んでも安全な場所で、出来れば誰かに見ていてもらいながら取り組んでくださいね。
【その1】
目をつむって頭をすくめ、首も脊椎も絶対に動かしてはいけません。
その状態で周りの物や人に手を触れて安全を確認しながら、10歩ほどゆっくりと歩いてみましょう。
どんな感じがしましたか?
恐怖感はありましたか?
【その2】
目をつむって頭は自由に動かせるように緩めておきます。
首も脊椎も柔軟に自由に動くことができます。
その状態で周りの物や人に手を触れて安全を確認しながら、10歩ほどゆっくりと歩いてみましょう。
どんな感じがしましたか?
恐怖感はさっきと違いましたか?
実験はこれで終わりです。
この二つにどんな違いがあったでしょうか。
【その1】は違和感センサーがOFFになった状態、
【その2】は違和感センサーがONになっている状態です。
目をつむって視覚情報が遮断されると、手や足からの触覚や筋感覚から周囲の情報を得ようとするでしょう。
そのときに情報が入ってきにくい状態になるのが、違和感センサーがOFFになっているときです。
周りからの情報が入って来にくくなるので、より不安感や恐怖感が強くなり、呼吸も浅く歩き方もゆっくりになったのではないでしょうか。
反対に頭が動けて脊椎も自由になっていると、手で触るものや瞼を通して入ってくる光や空気の動きや匂いも情報としてキャッチできるため、不安感や恐怖は和らぐはずです。
頭が動ける違和感センサーONのときとそうでないとき、楽器を吹いてみるとその音や吹き心地でも大きな違いがわかるはず。
このセンサーのスイッチが入ってるかどうかでパフォーマンスの質が変わるのは明らかなことでしょう。
アレクサンダーテクニークは身体の構造の勘違いや、現実的に不可能なことをしようとしたりする思考の不具合や、そのほか色々なことで頭と脊椎がギュッと押し付けあって違和感センサーがオフになってしまう原因を解決し、やりたいことが適切に行えるようにするためのメソッドです。
色々な動作でこの二つの状態を比べて、どんな違いがあるのかを体験するのは面白く気づきが多いのでオススメです。
ぜひやってみて下さいね!