アレクサンダーテクニークのレッスンでは、行いたいことのための自分への指示としての言葉を「○○をしないように」ではなく「△△をする」と言い換えることをします。
これは肯定形の方が身体に対して指示が通りやすく、実際の動作として動きやすいというのが理由です。
それでは、より強く『やる』と念じるために「絶対△△しなければならない!」と考えるのはより良いのでしょうか。
例えば風邪を引いたりしたときに、「絶対寝ていなければならない」と思って横たわっている場合と「そうしたいなら寝ていてもいい」と思って横たわっている場合では、どちらが快適に休めるでしょう。
どちらかというと「寝ていてもいい」と思ったときの方が気が楽でよく休めるのではないでしょうか。
人は自分からでも他からでもなにか強制されると抵抗するようになっているそうです。
それは性格とか育ちなどではなく、人間に備わった性質だそう。
合奏の練習日なども「今日は行かなければならない」と思うよりも、「行っても行かなくてもいいけど行くことを選択する」と思った方が行く気になるのではないでしょうか。
より強く「やらなければ!」と思うと逆効果になってしまうのはなんだか不思議ですよね。
これは「○○しないよう△△をする」という言葉には「△△以外してはいけない」「失敗することは許されない」というニュアンスを含むから。
思考のどこかに禁止や否定の意図があると、身体全体の動きやすさが変わってしまいます。
強制には何かを禁止や否定する意図が含まれているために、「やりたくない、動きたくない」と感じてしまいます。
どうしてもしたいことがあるなら「絶対やる!」と思うより、「これをすることを選択する」という思考の方がよりやりたくなるでしょう。
強い肯定の表現ならいいかと思うと実はそういうものではなく、いくつかの選択肢の中から自分で選ぶというのが大切なプロセスなのは興味深いですね。
色々な場面でぜひ試してみてくださいな。