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リズムが取れない原因と対策

「リズムが取れない」「複雑なリズムだと楽譜を追えなくなる」

そんな苦手なリズムがある場合によく取り上げられるのが、歌ってみるとか手で叩いてみるという練習方法。

でもこれを取り入れてみても出来るようにはならない、というのが本当のところではないでしょうか。

今回はリズムが取れない、楽譜が追えなくなる、ということの原因と対策をご紹介します。

リズムフィギュア(リズムの形)が認識できていない場合

「リズムが取れない」「苦手・・」と感じてしまう原因としては大きくわけて3つあります。

まず1つ目としてありがちなのは、リズムフィギュア(リズムの形)が認識出来ていない場合。

これは楽譜に何が書いてあるかがよくわかっていないパターンです。

32分音符や64分音符など符尾の多い音符が入り混じっていたり、複付点などの見慣れない表記があるとつい立ち止まって考えてしまうもの。

「えーと、なんだっけ?」と思っている間に通り過ぎてしまい、結果的になぜか出来なかった場所として印象に残ってしまいます。

これはまずはビート1拍ごとにどんなリズムを入れるのかを整理することが必要です。

「そう思ってゆっくりやってみても出来ないんです」という方もいらっしゃいますが、そんな場合は『ゆっくり』ではダメだということ。

ゆっくりどころかいっそ立ち止まってしまうのも良い手です。

まずは1拍分だけ吹く、完璧に出来たと思ったらまずは深呼吸をしてお茶を飲み、それから次の1拍を吹いてみる、そうやって丁寧に進んでみましょう。

自分で何をやっているのか認識出来ないテンポは、どんなにインテンポより遅くても脳の処理速度に比べて速すぎるということ。

また、前の小節から繋げると上手くいかなくなるというのも脳の処理が追いついていないことが原因のケースが多いので、まずは認識出来るように分解してきちんと理解してから音を出す、ということを徹底すると改善して行くかもしれません。

 

テンポが一定に刻めない場合

リズムが取れないもう一つの原因は、ビートが一定のテンポでカウント出来ていない場合。

そもそもリズムの土台となるビートのカウントが歪んでいるために、そこに乗っているリズムが把握しにくくなっている状態です。

1、2、3、4、

と進んでいくはずなのに

12・・・えーと、3、ん?4?

なんてやっていてはその上にリズムが乗るどころではありません。

それはリズムが取れないというよりテンポキープが出来ていない、ビートが刻めていない、ということ。

まずは一定の間隔でビートを刻むトレーニングが必要です。

これは簡単なようで以外に難しく、プロとして活動している人やトレーナーとして教えている人でも実はきちんと出来ていないことが多いもの。

意図してテンポを巻くのではなく興奮したときについ走ったり、ゆっくりな曲で敢えてルバートとしてコントロールしているのではなくダレたりするのなら、それはカウントが正確ではない証拠。

メトロノームや指揮者に頼らずに自分のビートをキープするためには、体系的な訓練が必要です。

これは長年楽器を吹いてきたとか、数年指揮を振っているというだけで知らないうちに身につくものではありません。

「何となく数えられる」程度の精度ではなく、きちんとトレーニングされたカウントという土台の上にリズムが乗っていたら、リズムフィギュアがはっきりと見えてきます。

そうなれば、どんなに複雑なリズムでも正確に演奏出来るでしょう。

そしてさらに正確なビートがキープできるからこそ、意図的なテンポのゆらぎを表現として演奏に使うことが出来るのです。

ビートを正確にすることは、リズム把握のためにも、演奏表現のためにも欠かすことの出来ない要素ですね。

 

打点がボヤケている場合

そして最後にもう一つはリズムを構成している一つ一つの音符の打点が大きすぎるので、リズムフィギュアがボヤケて見えにくくなっている場合。

どんなに正確にビートが刻めても、リズムフィギュアが把握出来ていても、それを表現するときに大雑把な打点でしか音に出来なければ結局ボヤケてリズムは滲んでしまいます。

付点リズムなのか3連符なのかあやふやでわからない演奏が良い例でしょう。

ビートにもリズムにも音の核となる場所があるもの。

それを
「だいたいこの辺」
ではなく
「絶対にここしかない!」
という絶妙なタイミングで鳴らせるかどうかで全体の印象が変わります。

「神は細部に宿る」という言葉がありますが、まさにその通り。

「だいたいこの辺」といういい加減な演奏表現では、細部の表現があやふやなためにリズムフィギュアが見えにくくなり、いわゆる「ノレてない」状態になってしまうのです。

この打点がボヤケているパターンはリズムが甘いだけでなく、往々にしてビートキープの精度も低いので「合っているかどうかわからない」ということにも繋がりがち。

ビートとリズムの正確さが上がり研ぎ澄まされた状態になると、モヤが晴れて視界が良くなるように複雑なリズムもすっきりと把握できるようになりますよ。

 

結局ソルフェージュ力がモノを言う

リズムが取れないというのはそれ単体の問題ではなく、このようにソルフェージュ力がないという根本的なところが原因のことがほとんどです。

欧米諸国の音楽教育のように「楽器を持つ前に」とまでは今さら大人奏者には言えませんが、ソルフェージュを身につけておくと本当に色々なことがラクになってストレスフリーに演奏できるようになるのでおすすめですよ。

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  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 著書『音大に行かなかった大人管楽器奏者のための楽器練習大全』(あーと出版)を2023年8月に発売。Amazon「クラシック音楽理論」カテゴリーにて三週間連続ベストセラー第一位を獲得した他、「音楽」カテゴリー、「クラシック音楽」カテゴリーでもベストセラー第一位を獲得。 BODYCHANCEおよびATI(Alexander Technique International/国際アレクサンダーテクニーク協会)認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。聴く耳育成®︎協会代表理事。管楽器プレーヤーのためのソルフェージュ教育専門家。クラリネット奏者。

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