指の練習って楽器演奏をする人なら誰でもするものでしょうが何のためにするんでしょうか。
わたしたち演奏者は指を速く動かすために指の練習をしたいというわけではありません。
じゃあ何のために指の練習をするかというと、曲の中で出てくる速いパッセージも問題なく吹けることで自分がやりたい音楽を自由にそして作品が求めるようにやるために必要だからなのですね。
大事なのはテクニックに問題がない方が自由な表現をするための余裕が持てるということで、速く吹くことがエラいのではないってこと。
学生時代のわたしは何でもかんでも指定テンポより速く吹きたいスピード狂でした。
フランセのコンチェルトさえ指定テンポより速く吹いていたスピードマニアです(笑)
でもそんなことに音楽的な意味はまったく無いのです。
音楽は世界記録を求めて速度を追求するような競技ではありませんから。
そして速いテンポでないともたれたり退屈な感じがしたりするというのであれば、音楽を表現出来ていないから。
つまりゆっくりにてしまうと中身が空っぽで間が持たないから「速くてカッコいい」に逃げたくなるのです。
作曲家がスピード感を持って演奏してほしいと思って書いた作品があったとしても、スピードだけが求められてるなんてことはほとんどありません。
盛り上がりと落ち着きのストーリー展開や音色の変化、ニュアンスの微細な違いを見せたりなどスピード以外の要素だってたくさん求められてるはず。
それが楽譜から読み取れなければ「じゃあテンポを速くしよう」というところにしか工夫する余地がなくなってしまいますよね。
「細部が緻密に演奏できないからテンポを上げてごまかそう!」なんて自覚がなくても結果的に楽譜を読み込んだりなど頭を使わずテクニックだけの演奏することになってしまってはもったいない。
カッコ良くしたいなら単純にテンポを上げることだけに頼らず楽譜を読み込んで表現を磨くことも大切にしたいものですね。