アレクサンダーテクニーク 思考と心 練習 身体の仕組み

パソコン作業と初見演奏の共通点

先日普段とは違うパソコンで書物をしていて、パソコンの反応スピードがいつもより遅いときに自分の首や身体を固めて行ってだんだん動きにくくなっていくことに気が付きました。

これって初見で追いつかない曲を演奏するときに起きることと似ているな、と思ったのでシェアします。

 

普段のではない反応の遅いパソコンを使う時、「次にこの操作をしよう!」という思考のスピードに対してパソコンがワンテンポ遅れて動くので、「更に次はこれ」と思ったときにはまだパソコンの動きの準備が出ていないのです。

一瞬待たされる間、次に行う動きについての意図があり、そこに「一拍待つ」という意図は含まれていません。

次にやろうとすることに対してパソコンに待たされている一瞬は、できることが無くなるのです。

できることは無いけど次の動作をする、というのは現実的に不可能な意図です。

人間の身体は現実的に出来ないことでもしようとしますが、不可能ことだと固まるようにできています。

初見演奏のときも全く同じ。

楽譜を読み取って指や息をコントロールして音にするという動作が思考スピードよりも遅ければ、もたついたり動作が突っかかったりします。(動作が遅い場合)

反対に思考スピードが遅くて身体が動作を引き起こすタイミングに間に合っていなければ、身体は何をしていいかよくわからないけど何かするという意図になってしまいます。(思考が遅い場合)

どちらにせよ混乱して固まるわけですね。

その動作ごとに身体に起きるのはほんの些細なこわばりでしかないかもしれませんが、小さな固まりとそれを力づくで動かすことを繰り返していくと疲労や不快感につながって大きくなっていきます。

慣れた曲の演奏と初見で疲れ方がちがうのは、脳みその働きが違うだけでなくて実際の動きにも違いが出ているからかもしれません。

初見に強いプロ奏者は思考スピードはとても速くて常に一歩先を見ていますが、動作をテンポに合わせて後から行うということも考慮に入れているので混乱したりはしません。

動作自体の意図は速いタイミングで持っていても、それを適切なタイミングまで発動しないということも演奏の動作プランに含まれているのです。

「何だかやりにくい」というときには思考と動作の意図を持つタイミングについて探求してみるのも興味深いですね。

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  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 著書『音大に行かなかった大人管楽器奏者のための楽器練習大全』(あーと出版)を2023年8月に発売。Amazon「クラシック音楽理論」カテゴリーにて三週間連続ベストセラー第一位を獲得。 BODYCHANCE認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。管楽器プレーヤーのためのソルフェージュ教育専門家。クラリネット奏者。

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