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アナリーゼの方法あれこれ

楽譜の通りに音を出してはいても、それがどういう意味なのかわからない。歌い回し方にも自信が持てない。

演奏するときにはお客さんに作品の良さを伝えたいのが演奏者なのに、それって作品の良さがわかっていないと言うこと。

作品の良さに気がつくためにするのがアナリーゼ。

今回はアナリーゼをするときに着目するといいポイントをいくつか簡単にご紹介します。

はてなシマウマ

アナリーゼが何の役に立つのかわからない

音大出身の方や小さい頃から音楽を勉強してき方で意外に多いのが「アナリーゼのやり方は知ってるけどそれが何の役に立つかはわからない」というパターン。

そこについている和音が何度のどの転回形かも、それがどんな役割かも知っていて、なぜ役立て方がわからないなんてことが起こるのでしょうか。

これについては以前も書きましたが、実際の演奏にどう結びつけるかを教わっていないから、というのが大きな理由の一つ。

ただ単に分析だけできてもその意味がわからないなんてもったいない!

分析は作曲者からのお手紙である楽譜から情報を受け取るためにするものです。

手紙

楽譜には音符や表情記号や拍子以外にも行間から読み取れることがたくさん。

そして読み取った先のゴールとしては、実際の演奏にどう活かすかが大切でしょう。

せっかく分析ができたとしても曲の構成や構造ばかり気になるようでは、音楽の本質から離れてどんどん机上の空論になってしまいます。

楽譜からの情報は読み取るだけでなく、それを使って音楽表現をしていくのが楽しいのです。

 

楽譜からの情報あれこれ

楽譜に書いてあることは音符や表情記号や拍子やテンポだけではありません。

それでは実際の曲で見たときに受け取って演奏に反映させられる楽譜からの情報には、具体的にはどんなものがあるのでしょうか。

例えば。

和音が書いてあればそこにはそれぞれの和音ごとの色合いの変化とその変化によるストーリー展開があります。

リズムが書いてあればモチーフやフレーズの向かう先がどこなのかとか、どんなテンポ感なのかとか、テンポ感によって作品のそもそも持ってる性格などもわかります。

また、どこがどんな風に変化させられているのか、もしくは同じ要素がどう繰り返されてるのか、ということには作品をどんな風に展開したいかという作曲家の意図がとてもよく表れています。

書いてあることには何かしら意味があるもの。

作曲者がどういう意図でこの楽譜を書いたのかな?と想像してみるのは音楽の本質であるコミュニケーションの一要素かもしれませんね。

 

簡単に分析するには

とはいえ趣味で演奏している方は忙しいし、自分でモチーフの展開や和声の分析などをするのは正直なかなか大変と感じることもあるでしょう。

そんな場合は簡単に、

「最初のテーマ部分と似たところはどこにあるかな?」

「ガラッと雰囲気が変わるのはどこかな?」

なんていうところに注目してみると対比で見られる要素が見つかったりします。

分析が得意ではない方でもそういう大きな変化のポイントに注意して、部分ごとにどんな違いがあるのかを気にしてみると楽譜が少し立体的に見えてくるかもしれません。

そしてそれは何も机に座ってやらなくても、通勤電車の中でポケットスコアを見ながらでも、なんならお風呂の中で今取り組んでいる曲を鼻歌で歌いながらでも、できるもの。

つまりは「作品に興味を持つ」という習慣が、アナリーゼ上達のポイントでもあるのです。

 

知らない曲を聴く時に

楽譜を分析することについては書きましたが、知らない曲をレッスンやコンサートで初めて聴くときにはどんなところに注意するといいのかも考えてみましょう。

初心者マーク

これは楽譜なしで行うアナリーゼと言えるかもしれません。

予習できなければ何もわかりません、知らない曲のレッスンなんてできないし、コンサートで出会う解説の無い新曲は楽しみ方がわかりません。

そんな風に知ってる曲しか楽しめない、また理解できないのはもったいない無い!

文化が発展、進化していくのは新しいものが出てくる時。

「新しいからダメ」「知らないからわからない」なんて言っていないで、どんどん新しいものの面白さを楽しめるようになった方がずっと人生は豊かです。

 

楽譜なし、耳だけでするアナリーゼ

初めての曲を聴いた時、最初ににまずチェックしたいのはこんなこと。

・全体の構成がどうなっているか

・何度か出てくる同じモチーフがあるかどうか

・モチーフが変化してるとしたらどんな変化がついてるか

次に細かいところで確認したいのは主にこんなことがあります。

・各楽器の役割はどうなっているか(伴奏やメロディ、合いの手や対旋律など)

・和声の進行から雰囲気の移り変わりはどうなってるか

・リズムの特徴はどんなことか

・全体のストーリー展開の中のどんな部分なのか

こんなことを奏者が把握しているとアンサンブルが整いやすいので、レッスンやリハーサルではこういうことを一緒に確認すると演奏がスッキリしたりします。

またコンサートで初めて聴いた曲でもどんなところが面白いのかということがわかりやすくなって音楽の魅力がはっきりするので楽しみが増えるかもしれませんね。

 

アナリーゼは楽しい!

ただ書いてある通りに音を並べるだけならAIでも打ち込み音源でもいいでしょう。

人間として心のあるわたしたちだからこそ、楽譜というお手紙から感じることもあるし行間を読むこともできるはず。

せっかく音楽に触れるのなら機会的に音を出すだけでなく、自分も聴いている人も心を揺さぶられる経験をしたいものです。

そのための手がかりとしての楽譜を読むスキルがアナリーゼ力というもの。

喜びを持って演奏し、楽しく聴くことのできる力、アナリーゼもソルフェージュの一つの要素です。

今回は簡単にいくつかのアイデアをご紹介しましたが、レッスンや講座ではもっと色んなアイデアをたくさんお渡ししています。

ぜひ活用して音楽ライフを充実させてくださいね!

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  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 著書『音大に行かなかった大人管楽器奏者のための楽器練習大全』(あーと出版)を2023年8月に発売。Amazon「クラシック音楽理論」カテゴリーにて三週間連続ベストセラー第一位を獲得。 BODYCHANCE認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。管楽器プレーヤーのためのソルフェージュ教育専門家。クラリネット奏者。

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