しばらく楽器を吹けない日が続いた後、久しぶりに吹くと口の周りやお腹付近など筋力が落ちていることを感じるでしょう。
長いブランク明けはつい焦っていきなり長時間音出しをして疲れたり、無理矢理今まで通りに吹こうとして変な奏法がクセになったり、どこか痛くなったり。
ブランク明けの練習は連日吹けていた時の練習とは変える必要があります。
今回は久しぶりに楽器を吹いた時の練習についてまとめてみました。
ブランク明けこそ丁寧に
長く演奏できなかった期間があけたら「さあ吹こう!」と張り切りたくなるものですが、とにかくたくさん吹けばブランク期間が帳消しになるなどの単純なものではありません。
以前吹いていた時に比べたら筋力も体力も違っているはずであり、吹かない間に見聞きしたものや感じたことによって音楽への向き合い方も変わっていることも少なくないでしょう。
吹いていない間、スケールやエチュードに続きについてだけでなく、
・自分にとって音楽とは何か
・何のために吹きたいのか
そんなことを改めて考えることもあるかもしれません。
心身ともに変化しているはずのブランク明けの最初の時期は、いきなり長時間練習するのは控えてせっかくなら少し丁寧に奏法を再構築したいものですね。
ブランク明けにおすすめの練習
はじめはちょっとずつ身体を慣らし、唇やお腹周りや腕などに疲れが出てくる前に吹くのをやめるのがおすすめです。
やりたい動作に必要な、適切な筋肉が働き出すのを待ってあげましょう。
疲れが出てきたなと感じるまで吹いてしまってはやり過ぎです。
ここで無理に一気に戻そうとすると、瞬発力はあるけれど鳴らなくさせる筋肉が発動して、奏法の再構築をとても邪魔してしまいます。
疲れる前に一旦やめて休ませたら、次の練習の機会にはもう少し長く吹いても大丈夫。
これは同じ日に何度も時間差でチャレンジするのではなく、一度眠って脳が情報を整理するのを待ってから再開する方が効果的です。
そうやって丁寧に演奏を再開すると元々持っていた変なクセが抜けたり、より効率的に鳴らすことができるようになったりと、メリットもたくさんあるものです。
一見遠回りして上手くなる
ブランク明けで「ここから新しく奏法を作り直す」と思うと果てしないような気がしてしまうかもしれません。
でもすでに一度演奏できていた過去の記憶がある今、本当の初心者のときとは比べ物にならないくらい早く思った水準まで戻すことは出来るし、ブランクのおかげであやふやにやり過ごしていた部分が明確になったりもするものです。
久しぶりに吹くときにはぜひ取り入れてみてください。
無理やり吹くと調子を崩す
疲れていたり痛みがあるのに無理やり吹いたとき、音が縮こまって窮屈になったり音量や音質の細かいコントロールができなくなったりした経験はあるでしょうか。
当たり前といえばそうなのですが、ブランク明けにありがちなこういう音や操作性の不具合はなぜ起こるのかを考えてみましょう。
疲れてるのはどこ?
まず演奏するという動作によって身体が疲労した場合、これは当たり前ですが吹くための筋肉が疲れているわけです。
口の周りだったり、腕だったり、直接的に演奏に関わる部位ですね。
その時にさらに無理やり吹こうとしたら、すでに疲れている筋肉はもう機能しません。
ということは代わりに別の筋肉で、本来演奏のために働く筋肉の仕事を肩代わりしなければならないのです。
代わりに働くのはどこ?
疲れて働けなくなった筋肉の仕事を肩代わりするのは、普段は演奏にあまり関わっていない筋肉。
なぜその筋肉たちが普段演奏に関わっていないかと言うと、演奏の動作を行うことができない構造になっている、もしくは著しく効率が悪いから。
つまり演奏をする役割を担えない仕組みになっている筋肉たちがどんなに頑張っても、上手くは行かない上に普段より余計に疲れるのです。
演奏のために働ける筋肉がまたちゃんと機能するためには、一旦休んでリセットされなければなりません。
結局、身体の他の部位で仕事を肩代わりすることは出来ないのです。
役割が違う筋肉
さらに本来微細に音色や音量などコントロールしている筋肉は、かなり細かな動きをしています。
そして出来もしない仕事を肩代わりしようとしてくれる男気あふれる(?)筋肉たちは身体の表層にあって、大雑把で強い動きの方が得意なことが多いもの。
脳外科医が手術中に疲れたからと代わりに手術作業を大工さんに頼むようなもの。
(作業の細かさの例えです)
本職ではないのです。
担っている役割が違うのですから。
でも仕事を肩代わりしようとする筋肉たちは、その本職ではない仕事を何とかしようと頑張ってくれるので、あちこちに不具合が起きる割に狙った効果が出せません。
そのまま見当外れな動きを繰り返せば、それがクセになってしまいます。
疲れたときの対処法
演奏していて疲れてきたり痛みが出たら、すぐにやめて休むことが大切。
動かしたい筋肉が適切に働くことを繰り返すことが練習です。
的はずれな動きで疲れて自分をごまかすことは練習ではありません。
無理をしてでも練習を続けたいと思ったときには、思い出してみていただけたら幸いです。