アナリーゼ ソルフェージュ 合奏・アンサンブル

ウィーンフィルの音を出すのは簡単

 

ウィーンフィルの音を出すのが簡単なわけがない!そう思うでしょうか。

最近では電子楽器の音や打ち込みのための音素材で、生の楽器の音を録音したものも使われています。

その中のひとつに「ウィーンフィルの音」という音素材があります。

一音一音ウィーンフィルの弦楽合奏の音をサンプリングして作られた音の素材です。

例えばこのサンプリングされた音で自作の曲をパソコンで鳴らしたら、それはウィーンフィルの演奏なのでしょうか。

もちろんそんなわけありません。

ウィーンフィルの楽団員がそれぞれ楽譜を読んでどう作品を表現したいか考えた結果の演奏ではないのですから。

「ウィーンフィルの音」というと豪華な感じがするかもしれませんが、結局はサンプリングされたただの音の羅列です。

もちろん手軽に有名オーケストラの音が使えるのは便利なことであり、決して悪いことではありません。

でも「ウィーンフィルの音」と「ウィーンフィルの演奏」は全く別物だということは知っておきましょう。

また、生で楽器演奏をする人も実は似たような思考に陥っているケースもあるのです。

たとえば「このフレーズではどんな音を出したいですか?」と尋ねた時に、それがどんなニュアンスのフレーズだろうと「キレイな音を出したいです」と答えてしまう場合。

そのフレーズがどんな場面でどんな役割りでどんな表情なのかを一切無視して「キレイな音」だけを求めるなら、それこそ人間が生身で演奏するよりサンプリングして加工された音の方がキレイかもしれません。

わたしたちが生演奏を聴いて本当にキレイだなと感動するのは、どんな前後の繋がりで奏者が何を伝えたいかがよく見えるときなのではないでしょうか。

たくさん練習して良い音が出せるようになるのは良いことですが、何の脈絡もなく唐突にただ一音だけ極上の音が出せたからってそれだけでは音楽にはなりません。

何のためにどんな音が出したいか、安易に「キレイな音」に逃げずに考えていきたいことですね。

完全無料

*ezweb・vodafone・softbank.ne.jp・hotmailからのご登録の場合、文字化けやメールの配信エラーが大変多くなっております。恐れ入りますが、それ以外のアドレスからご登録をお願いいたします。

  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 著書『音大に行かなかった大人管楽器奏者のための楽器練習大全』(あーと出版)を2023年8月に発売。Amazon「クラシック音楽理論」カテゴリーにて三週間連続ベストセラー第一位を獲得。 BODYCHANCE認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。管楽器プレーヤーのためのソルフェージュ教育専門家。クラリネット奏者。

-アナリーゼ, ソルフェージュ, 合奏・アンサンブル

Copyright © 2022 聴く耳育成協会 All Rights Reserved.