アレクサンダー・テクニーク レッスン 思考と心 身体の仕組み

脱力して上手くなる人ならない人

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アレクサンダー・テクニークに関わっていると「脱力ってどうやるの?」と尋ねられることが多くあります。

一般的に楽器演奏の粗動を受けるときには「力まないように」「脱力が大切だよ」などよく耳にしますが、アレクサンダー・テクニークでは脱力を勧めているわけではありません。

いくつか理由があるので今回は脱力の効果について述べてみたいと思います。

アレクサンダー・テクニークは力を使うためのもの

アレクサンダー・テクニークとは脱力法ではないので、アレクサンダー・テクニーク教師は脱力をいかにやるかということを指導するわけではありません。

では何を伝えているかというと、受講者本人がやりたいことに対して適切な力を使うためにもっと良い動きやアイデアがあるかどうかを一緒に探求すること。

つまり無駄なくより良く必要な力を使う方法をお伝えしているのです。

そもそもダルダルに脱力していたら楽器演奏など出来るものではないし、それどころか楽器を支えられず落として壊してしまうでしょうから。

脱力が向く人と逆効果になる人

これまでにトンチンカンな方向に頑張りすぎて効果が出なかったというタイプの奏者にとっては、より効率的に動くために無駄なことをやめて必要なことだけをするというのは身軽になったような気がするかもしれません。

場合によっては「何もやってないのにうまくいく!」という気分にさえなることも。

とはいえ反対にこれまでにあまり筋力やエネルギーを使わないために上手くいっていなかった奏者には「もっとやって!踏み込んで!」というより力を使う方向のレッスンになることも多くあります。

それまでにやっていたことによって「こんなにやらなくていいの?!」「こんなにやっていいの?!」という真逆の驚きに出会うことがあるのも興味深いところなのです。

やりたいことによっても違うのはもちろん、どれくらいの力を使っていたのかによっても指導の方向性は変わってくるので、必ずどんな奏者にも脱力奏法が適していると言えないのは当然かもしれません。

脱力が向いているのはこんな人

  • 力みすぎて肩こりや腰痛がある
  • 音が大きくて荒くなりがち
  • 頑張っている割に遠鳴りしない

でも響きのためには脱力したほうがいい?

身体の使い心地だけでなく響きをコントロールするのにも脱力が言われることもありますが、これも人と場合によるものです。

すでにしっかり鳴らせていてさらに音質コントロールや音量の豊かさを目指したい場合には無駄な力みを捨て去ることは有効。

反対にまだうまく鳴らしきれずヘロヘロヘナチョコな音の段階では共鳴させる以前のお話。

まずはしっかり鳴らして、それからどう共鳴させるかということが話題になっていくものです。

鳴っているものに掛け算したらもっと響くようにはなっても、全然鳴っていないものにいくら掛け算してもゼロのまま。

演奏には脱力が役に立つ場合と逆効果になる場合があるのです。

自分に合うのかどうかが大切

脱力に限らず一般論として言われているアイデアは人によって場合によっては逆効果になってしまうことも少なくありません。

どこかで情報を仕入れたとしても、奏法として剃り入れる前に自分の演奏スタイルに役に立つのかどうか、改めて考えてみましょう。

なんでもかんでも無検証に丸呑みせず自分で考えることはやはり大切ですね。

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  • この記事を書いた人

有吉 尚子

クラリネット奏者。 栃木県日光市出身。 都立井草高等学校卒業。2007年洗足学園音楽大学卒業。2009年同大学院修了。 クラリネットを大浦綾子、高橋知己、千葉直師の各氏に、室内楽を平澤匡朗、板倉康明、岡田伸夫の各氏に師事。 ミシェル・アリニョン、ポール・メイエ、アレッサンドロ・カルボナーレ、ピーター・シュミードルの各氏の公開レッスンを、バスクラリネットにてサウロ・ベルティ氏の公開レッスンを受講。 受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。 及川音楽事務所第21回新人オーディション合格。 2010年より親子で聴ける解説付きのコンサ-ト「CLARINET CLASSICS」~クラシック音楽の聴き方~をシリーズで行う。 2015年、東京にてソロ・リサイタルを開催。 オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動を行っている。 また、ソルフェージュや音楽理論、アレクサンダーテクニークなどのレッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 音楽教室N music salon 主宰。

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