ここまで聴き取りの練習や聴いたものにどう反応するか、ということをテーマに色んなトレーニング素材をご紹介してきました。
今回はそれで身につけたスキルを活かしてアンサンブルで遊ぶ方法をお伝えします。
有吉尚子です。こんにちは!
今回ご紹介する内容には即興的な要素がありますが、クラシック奏者でも毎回同じようには演奏しませんね。
ニュアンスや相手の出方次第で色んな反応を求められるようなアンサンブルだと、とてもエキサイティングで毎回新鮮な演奏になります。
そしてその反応のトレーニングをするのには楽譜に書かれていないけれどその場面にマッチすることを自分で考えるという方法がとっても役に立ちます。
さらにクラシック作品の演奏は楽譜に書いてあることの行間をどう読み取るか、なんてことも必要です。
いわゆるアナリーゼですが、それは作曲家がどんな意図でその音そのリズムを選んだのかということの足跡を辿る作業でもあります。
自分が音を選んだ経験があるのとないのとでは作曲家の意図の見え方が全く違ってきます。
アナリーゼにも役に立つ都合のいい方法なんですね。
また趣味で演奏している方にもコードでアンサンブルできると和音内で自分の音がキレイにはまってるかどうかを注意して聴くようになり、だんだんそれが和音として調和しているかどうかも聴けるようになっていきます。
相手がどんな音形をやっているのか聴き取るのに慣れてくると、だんだんとそれがどんなニュアンスなのかにも意識が向いてきます。
では具体的な方法についてです。
これはみんなで一緒に楽譜を見ながらやりましょう。
レッスンで使うなら生徒さんが上の段の旋律を、先生がコードをヒントに伴奏をつけてあげましょう。
楽団の仲間と遊ぶならお互いに交代しながらやって行きます。
これは単旋律でもそこについているハーモニーがどんな風なのかを感じて身につけるのが目的です。
下の段はコードに慣れていない場合に構成音をメモするのに使ってください。
そこに伴奏音形を書き込んでしまっては即興要素が無くなってちょっともったいないですよ!
旋律が動いてる時は長めの音形、休符や伸ばしのところで動きのある音形にするとバランスが取れていいですね。
もしも並行や並逹、第三音重複など和声学や対位法の禁則を知っていたらそれも取り入れると美しいオブリガードにできちゃいます。
そんなの聞いたことないしわからないという場合には気にしなくて大丈夫!
例えばこんな感じを参考に。
それに慣れたら今度はパートを反対にしてみます。
レッスンなら先生が上の段の旋律、生徒さんが旋律の持っているハーモニーに合う音を即興で選んで演奏しましょう。
即興をやったことのない方だと最初はドキドキかもしれませんね。
ハーモニーに合う音のヒントはコードが示してくれています。
間違えたりしてもとにかく止まらないで最後までたどり着くこと、そして最後まで行ったらチャレンジした勇気をお互いに讃えあいましょう!
チャレンジしない人は永久に進歩なんてしませんがあなたと一緒にやったお仲間は一歩踏み出してチャレンジしたんですから。
お互いに慣れたらさらにステップアップです。
今度は旋律パートは無視して完全にコードだけでアンサンブルしてみましょう!
相手がやったことをカノンで真似てもいいし、合いの手を入れられそうなタイミングを見つけたらすかさず入れてみたり。
そういう遊びになれると耳も反応力も格段に上がって、アンサンブル能力がアップするだけでなく譜読みも速く正確になって行きます。
さらにコードとメロディでアンサンブルしながらソルフェージュのトレーニングをできるようになると、そういうスタイルの楽譜はすでに数えきれないほど出版されてるのでアレンジいらずで無限に遊べるようになっちゃうというオマケつき!
都合のいいことだらけなアンサンブル遊び、ぜひ取り入れてみてくださいね!