アレクサンダー・テクニーク コミュニケーション レッスン 思考と心 練習

レッスンの仕方

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楽器のレッスンをしていると練習してこない生徒さんにイライラしたり、なかなか先の課題に進められなくて困る経験は誰でもするのではないでしょうか。

それでも先生と生徒は決して上下関係ではありません。

今回はレッスンするときに知っておきたいこと、心がけたいことなどを記事にしてみました。

プロよりアマチュア奏者の方が音楽を好き?

「音楽を専門的に勉強してこなかったから恥ずかしい」

そんな声を耳にすることがありますが、音楽を専門に選ばなかったのは別に好きではなくて情熱が大してないからなのでしょうか。

趣味で音楽をする方の場合は音楽だけをやっていれば良いプロや音大生と違い、それぞれにお仕事があったり家庭があったりして、音楽の優先順位は高くないことも多いもの。

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それはやる気とか熱意とかそういう問題ではなく、他に大切にしたいものがあるということ。

そういう方に専門家を目指す人と同じ練習量や熱意を求めても、それはとんちんかんというものでしょう。

今年こそは英語の勉強を始めよう!なんて毎年決意して年末になれば、「まあ来年から・・」なんて思ってしまうのと同じことですね。

・仕事にしたいほど音楽が好きな人

・他の専門分野がありながらも音楽をやり続けたい情熱を持っているアマチュア奏者

どちらが優れてるとかいうことではなくそれは単純に専門分野の違いですし、それぞれが大切にしたいものを大切にするのは当たり前の権利です。

忙しくて時間が取れない、それでも上手くなりたいとレッスンに通うということ自体が音楽に対する情熱をたくさん持っている証拠。

「今まで専門的に学んではこなかったことを後悔する」という方もよくいらっしゃいますが、それは他に専門として学んだことがあるわけなので音楽が大切でないということには繋がりません。

そんな忙しくて時間は無いけれど音楽を学びたい生徒さんの場合、音楽の専門家としてはどんなサポートができるか、改めて考えてみたいものですね。

 

つまらなくて当たり前な基礎練

「基礎練がつまらない」とか「退屈だ」という声はよく聞くものですが、そもそも基礎トレーニングはなぜ必要なのでしょうか。

基礎が大切ということはその必要を実感したことのある方にはわかりきった当たり前のことでしょう。

でもはじめたばかりの方はシンプルな音の並びを見て「基礎練がつまらない」と思うことも少なくありません。

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そもそも音楽は思ったことを表現できることが楽しくて、そのために楽器のコントロール技術が必要になってくるもの。

それなのにスケールやアルペジオをやるときに何の音楽的意図もなく、ただ音を並べることだけを延々としていたら…それはつまらなくて当たり前です!

例えばソからシのレガートがきれいにかかるようにしたいのは、そういう音階練習を上手くやりたいからではなくて曲の中で出てきたときに思ったようにコントロールしてフレーズを演奏したいから。

練習のゴールが「スケールの完成」ということではなくて「このフレーズをこう表現したい」ということだとわかっていればつまらなくなんてならないでしょう。

先生や先輩に「やったほうがいい」と勧められたからとやみくもに基礎練をやるより、何のためにそれが必要なのかをはっきりさせて練習することも大切です。

そう考えるとただ単に「やったほうがいい」とだけすすめるのはちょっと雑な指導なのかもしれませんね。

 

レッスンに期待すること

忙しくて時間は無いけれど音楽を学びたい情熱を持った生徒さんに対して、私たちは音楽の専門家としてどんなサポートができるでしょうか。

例えば普段自分の専門外のことで興味がある場合、または「車が故障した!」など何か困って専門家を頼る場合、自分がどんなことを期待しているのかを振り返ってみるのも良いでしょう。

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まずは専門家ではない自分にもわかる言葉や表現で説明してほしい、ということは第一でしょう。

ではそれからは?

「問題解決のヒントがほしい」とか「知らなかったことを教えてほしい」とかいろいろあるでしょうが、結局は自分の望みにどれだけ役に立つ情報をくれるかということではないでしょうか。

趣味として音楽をする方へ音楽の色んな要素を伝えるために大切なのは、やっている練習が生徒さんにとって何の役に立つのかわかるようにすること。

そのためには、例えば目の前の取り組んでいる楽曲のワンフレーズを聴音課題にするなど取り組んでいる曲の中で楽器操作のテクニックやソルフェージュを身に付けてしまえるよう工夫されたレッスンは効率的なもの。

やりたいことに直結していて結果も見えやすく上達が自分の目標や音楽の楽しみに結び付きやすい取り組み方の方が、趣味の生徒さんを抱えてる先生にはおすすめです。

要素を統合して目的を明確化するのはフォルマシオン・ミュジカルがヨーロッパの音楽学校で取り入れられている理由とまさに同じことですね。

もちろん、コンクールや音大受験などもっと遠くのゴールを見て頑張れるだけのエネルギーと時間のある方には要素を細かく分解して緻密にレッスンするのもとても良いことです。

どうぞ試してみてくださいね!

 

「高い」「低い」とダメ出ししていませんか?

吹奏楽のレッスンをしにいくとよく見かける光景に、全員がそれぞれチューナーを譜面台に置いてクリップマイクで楽器から音を拾っている様子があります。

ハーモニーを合わせるトレーニングとして、耳ではなく視覚で音程を合わせるというのはまったく意味が無い…

そんなことはすでに話題になることも多くし、チューナーではなく耳で合わせる練習を取り入れてる先生もたくさんいらっしゃいます。

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では、耳で合わせるためにできるアドバイスって具体的にはどんなことがあるでしょうか。

相手の出した音に「高い」「低い」とコメントするのは、耳を使う練習としてあまり良い方法ではありません。

なぜかというと、外部からのフィードバックであるという点でそれではチューナーと変わらないから。

自分の中に基準がないのに音程を他人からただ高い低いなんて言われ続けたら、しまいにはわけがわからなくなってしまいます。

では、自分で判断できる耳を育てるためにはどんなことができるでしょうか?

大切なのはすぐに正解を言ってしまわず相手が考えたり感じ取ったりするチャンスを作ってあげることです。

すぐに正解とかヒントをもらってばかりでは自分で考えたり判断することができなくなってしまいます。

それに安全な環境できちんた間違えた経験というのは、その後に活きるものです。

間違えたことがなければ間違えることが怖くなってしまいますからね!

まずは合ってないと思ったら高くか低くかはどっちでもいいから音程を動かしてみましょう。

もしも、よりズレたら反対だったということで逆の操作をすればいいだけのこと。

自分の耳で聞き取って意図的に音程を変化させる体験を積み重ねること、これを繰り返せばどれくらい抜き差しすればどれくらいの音程変化が起こるのかなんてことがだんだん身に付いていきます。

待つのもトレイナーとしては大切なお仕事ですね。

 

伝わらない生徒さんに会った時

レッスンやアドバイスなど何かを伝えるとき、何度言っても通じない相手に出会ったことはあるでしょうか。

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時にはアドバイスやレッスンなどをする必要があっても音楽家がレッスンするということを学ぶ機会は日本ではまだほとんどないので、大抵が自分のやってきたことや教えてもらったことをそっくりそのまま伝える、というレッスンをしがちです。

もちろん自分がやってきてある程度の効果があったことは同じことをやって効果のある人も一定数いるでしょう。

でも。

動作や知識の学習の仕方には人によってそれぞれ違うパターンがあります。

先生がやって見せてスッと理解できる生徒もいれば、ひとつひとつ論理的に説明されてそれに納得する生徒もいます。

自分で試してみないと感覚がつかめないという人もいるでしょう。

つまり先生がやってきた通りのことはそのままでは理解できないという人も中にはいるわけですね。

そういう生徒さんは理解力が無いのでもやる気がないのでもありません。

ただ単にコミュニケーションのパターンがあなたと違うだけです。

あなたにとってわかりやすいアプローチは、コミュニケーションのパターンの違う相手にとっては理解しやすい伝え方にはなっていないのかもしれません。

伝わらない時にするべきは、相手をどうこうではなくあなたの発信の仕方を変えること。

コミュニケーションのパターンが違うっということは、あなたとは違う情報の受け取り方が得意だということですから。

劣った相手なのではなく自分とは違うことに長所がある、ということを忘れないでいたいものですね。

このコミュニケーションの違い、代表的なのは視覚・聴覚・体感覚の3つのタイプです。

例えば、視覚からの情報を受け取りやすい人は先生のやっていることを見たり図で解説されたりするとすぐにわかります。

聴覚からの情報を受け取りやすいタイプは説明を聞いたり、音を真似したりというのが得意。

体感覚からのタイプは肩や膝をトントンとリズム叩きをしてもらったり自分で実際にやってみたりすると言葉ではなくても理解できたりします。

もちろんこの3つに必ず分類できるわけでもなく複合的に組み合わされたり別の要素が必要だったり、ということはあるでしょう。

とはいえ目の前の相手が自分と違う情報の受けとり方をしているとわかったら、どうやったら伝わるのかを考えることもできるし、その人に合うかもしれない別の先生を紹介することもできるでしょう。

伝わらないのは先生のコミュニケーションのパターンと生徒のパターンが違っている、ということが原因のことは意外に多いもの。

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「何度言ってもわからないなら破門だ!」なんて安易に言う前に、人それぞれコミュニケーションの取り方には特徴があることを知っておくのも大切なことですね!

 

まとめ

レッスンをするときや何かを教える時に前提として知っておきたいことをいくつか挙げました。

この記事を最後まで読んだ方はきっと研究熱心で生徒さん想いの先生ばかりでしょう。

先生と生徒である前に人間同士として、お互いに気持ちよく音楽に向き合うために、これからも新しい情報を仕入れたら引き続きシェアしていきたいと思います。

お役立ていただけたら幸いです。

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  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 BODYCHANCE認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。

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