有吉尚子です。こんにちは!
この頃ちょこちょこCDの伴奏で演奏する機会があります。
クラリネットはアンサンブル楽器なので全くの無伴奏ってあまりやることがないのです。
1本で演奏して欲しいとなったらヴァイオリンやチェロ、フルートなどの無伴奏作品を取り上げたりクラリネットのオリジナルなら近現代の作品を取り上げることになるんですが、近現代の無伴奏ソロの作品は調性も拍子もないようなものが多いのでリサイタルでないイベントみたいな場面ではなかなか演奏されないのですね。
休日お買い物ついでの通りすがりに立ち止まってみようかな?というテンションのお客さんが楽しむのには少し敷居が高いんです。
そういう無調無拍子無伴奏の作品は「よし!クラシックを聴くぞ!」というテンションのお客さんに楽しんでいただけるプログラム。
音楽といえばアイドルの歌、というイメージを持ってる人にいきなり現代曲を聴きましょう、というのは普通に考えてちょっと無理がありますよね。
そういう方にも「今度はコンサートホールにも出かけてみようかな?」なんて思ってもらうにはどうしたらいいんでしょう。
これってコミュニケーションの部分のお話ですね。
誰でも日本人の2才の子供にロシア語で哲学の話を振ったりはしないと思います。
相手が子供なら理解できるように簡単な言葉を選ぶでしょうし、歳を重ねた方に対するなら敬意を持った言葉遣いにしたりしますよね。
「ファミリーコンサート」なんてタイトルで演奏するときのプログラムに、前半はクラシックで後半はポップスなんて組み方をよく見かけます。
でもこれ、「まずはわたしの話を聞いて!その後であなたの話を聞きます」と言ってるみたいなものだなと思うんです。
まずは相手の目線に立って不安なく居心地よく感じてもらってこそ、こちらの話に耳を傾けてもらえるのではないでしょうか。
「知ってる曲だ!大丈夫、音楽は難しくない!」とう感じてもらえたら、解説しつつ近現代の無伴奏作品を取り上げても意外に面白く聴いてもらうことができるんです。
演奏する側は事前にしっかり準備してドキドキしながらクラシックの名作に取り組むので早いうちに終わらせて後半はポップスで気楽にやりたい、そんな風に思うかもしれません。
でもそんなのは演奏者の都合です。
普段は音楽に親しみのない方が初めて耳にする曲が気合いの入った大作だったら、びっくりしてしまうかもしれないし「やっぱり音楽はわからない」なんて心を閉ざしてしまうかもしれませんよね。
相手に通じる言葉を選ぶって何事にも通じることなのかもしれませんね。