運指がうまくいかないのは指以外に運指に関わっている身体の部位が適切に働いていないことが原因かもしれません。
今回は指を動かすことに関わる身体の動きについてみていきましょう。
運指は指だけじゃない
一般的に運指と言われてイメージするのは指でしょうが、指を動かすのは「指だけ」を動かすということではありません。
例えば自分の鼻を指で触ってみましょう。
次に、その指で自分の目を触ってみましょう。
どうですか?
ほとんどの人は「指を動かす」と思いながら、腕ごと動かしたのではないでしょうか。
楽器の演奏でも全く同じです。
・弦楽器やピアノでポジションの移動がスムーズにいかないとき
・管楽器で遠くのキーが押さえにくい時
無意識に指だけで何とかしようとしていないでしょうか。
他にも使える部分があるなら活用しなくてはもったいないですよ。
指を動かすのは指だけではないのです。
指以外で運指に関わるのは
では例えば他には指を動かすために身体のどこを動かせる可能性があるのでしょうか。
手首!
という答えが最初に聞こえてきそうですが、そう思った方は正解です!
手首も動かせます。
では。
手首にはどんな動きができるでしょうか。
・前後の動き
・左右の動き
これは問題なくできます。
では
・回転の動き
これはできますか?
実はこの動き、手首ではできません。
もしも手首が回転してしまったら・・・骨折してますから今すぐ病院へいきましょう!
ではそれは一体どこの動きなのでしょうか。
もったいぶっても仕方ないので言ってしまうと、肘の関節での動きです。
では、肘の関節での動きが使えると運指にどう役に立つのでしょうか。
肘でする運指
肘の関節を使ってする運指はたくさんあるものですが、例えば・・
・管楽器のキーを押さえるとき
・ピアノのトレモロをするとき
・弦楽器で人差し指を押さえたまま他の指を動かすとき
(写真協力:村井薫さん/ヴァイオリニスト)
たくさんの場面で肘の回転は活躍しています。
試しに指だけでその動きをするときと肘の回転も使ってするときとやりやすさを比べてみましょう。(指だけでやろうとすると身体のどこかしらを痛める可能性もあるのでほどほどに)
ほんのちょっとの意図の違いで快適さは大きくちがうでしょう。
身体の正しい知識が演奏をスムーズにする
身体の仕組みを正しく知っていると奏法上の問題に出会ったときに原因がどこにあり何をすれば解決するのかを自分で考えることができるようになります。
物理的に不可能な動きをするために努力したり怪我を招いたり、ということなく「その動きのためにはどの関節の動きが必要か」を自分の身体の構造や筋力と相談しながら奏法や練習の仕方を選べるようになることは、演奏を長く快適に続ける助けになるもの。
もし周りに物理的に運指や奏法が上手くいかなくて困ってる方がいたとしたら、どういうイメージでその動きをやってるのかを一緒に考えてみると身体と奏法の関係を知っていく最初の一歩になるかもしれませんね。