「ぼくの大好きなクラリネット、パパから貰ったクラリネット、とっても大事にしてたのに・・」有名な歌で実際にクラリネットでもよく演奏される童謡【クラリネットをこわしちゃった】。
今回は吹きながらクラリネットが壊れていくように見える演出の方法を解説します。
お客さんの目は釘付け、大ウケ間違いなしなのでぜひマスターしてたくさん演奏してくださいね!
クラリネットの楽器紹介として
これはオーケストラでの音楽鑑賞教室をよくやっていた時期に、「楽器紹介としてクラリネットこわしちゃったを楽器を分解しながら吹いたら楽しいのでは?」と思って作ったネタです。
ベルから順に外していきながら、管体が短くなると音が高くなることなど解説しつつ演奏すると、子どもたちにの興味を引き立てながら楽器の仕組みを知ってもらうことも出来ます。
楽しみながら学んだことは忘れないので、学校の音楽鑑賞教室などで演奏することもおすすめです。
それでは百聞は一見にしかずなので、まずは実演を動画でみてみましょう。
調は実音のFis-dur、クラリネット記譜のAs-dur
聴いてみるとちょっと複雑な感じのする調ですが、実音のFis-dur、クラリネットのAs-durで吹いています。
なぜこんな複雑な調なのかというと、ずばり吹きやすいからです。
どういうことかというと、楽器を全て分解して最後にマウスピースだけで音を出す時、普通に吹くと実音のCisになります。
少し口を緩めてまたはマウスピースの下側を少しだけ手で塞いでCを出しても良いのですが、普段と吹き方が変わるので毎回きちんと音程を取るのがちょっと大変になってしまいます。
ほとんどいつも通りの吹き方で出る実音Cisを狙った方が確実なので、こちらでやることが多いのです。
ということで最後の下降音形が実音Cisから始まるようにすると、一番最後の音はFisになります。
そういうわけで調性は実音のFis-dur、inBの記譜でAs-durとなるのです。
楽譜ダウンロードはこちら
楽譜にするとこうなります。
ダウンロードしてどうぞご自由にお使いください。
【実音バージョン】
PDFはこちら
【inB記譜バージョン】
PDFはこちら
運指と吹き方の解説
それでは実際に吹いてみましょう。
ベルの付いたところは普通に楽譜通り吹けば問題ありません。
ベルを外したところも、多少音質は変わりますがいつもの運指で楽譜通りに吹けば大丈夫。
問題はこの先ですね。
上管だけの部分の運指は筆者はこれを使っています。
【運指表】
楽器のメーカーや機種によって吹き方によって微調整する必要はあるので、それぞれ音程が良くて吹きやすい指を探してみると良いでしょう。
指だけでなくアンブシュアや管の塞ぎ具合でも音程や吹き心地は変わるので探求しがいがありますね。
そして最後のマウスピースだけの部分、これはアンブシュアだけでコントロールするのも可能ですが、手を添えて音程を変えるほうが簡単です。
【マウスピースだけの運指(?)】
これくらいの音によっての塞ぎ具合にすることが多いですが、気温や会場の響きやリードによって毎回吹きながら微調整する必要はあります。
このあたりは耳を使ってよく聴いて合わせていくのが大切になりますね。
ソルフェージュ力を磨いておくのは、こういう場面でも役立つ大切なスキルです。
ということで楽器を分解すると通常通りの吹き方ではいつもの音にはならないので、どうしたらいつも通りの聴こえになるのかを探求しながら、ご自身の奏法と楽器に合った方法でチャレンジしていただければと思います。
コンサートで取り上げると結構盛り上がって楽しいので、ぜひチャレンジしてみてくださいね!
その他クラリネットを分解する曲
この他に楽器を分解する曲はシュライナーの「だんだん小さく」(インマークライナー)が有名であり、かわいく楽しい曲でこちらもよく演奏します。
この曲はコンチェルトにもなっているので、オーケストラと一緒に演奏できるのも楽しいですね。
逆に楽器を組み立てていく曲としては、伊藤康英さんの「クラリネット作っちゃった」があり、これもユーモラスで魅力的な作品です。
コンサートの最初と最後や、休憩入り前と休憩明けなど、セットで取り入れるのも盛り上がります。
ぜひ楽しく演奏してクラリネットの魅力を伝えていきましょう!