雑念に惑わされずに演奏したい!
そう思っていても本番など大事な場面でこそ出てきがちな思考。
「自分にはできない」「失敗するんじゃないか」
そんなネガティブなものだけでなく一見ポジティブだけれど思いもよらぬミスを招くタイプの雑念もあるものです。
今回は演奏中の雑念にはどんなタイプがあるのか、どう対応したら良いかということをみていきましょう。
褒められたい評価されたい気持ち
弱気になる自己否定以外の演奏を妨げる雑念の代表的なものといえば「いい結果を出そう」「評価されよう!」というもの。
これは身体にとっては具体的に何をしたらいいのかはっきりしないのでいいアイデアではありません。
ですがそれだけでなく、このように演奏の結果をイメージするのはとても簡単なことでもあります。
ステージで表彰状をもらう自分の姿、終演後にたくさんの拍手を受ける姿、これらを思い浮かべるためには特に何の努力も必要ないでしょう。
そしてそんな想像をしているときは気持ちがいい瞬間でもあります。
いい結果のために必要なことは
それではそんな成功した結果を作る過程を具体的に思い浮かべることはできるでしょうか。
一体何をしたらその結果に結びつくかを「練習する」「努力する」などの漠然とした言葉ではなく表現できるでしょうか。
曲のどの部分をテンポいくつで何回吹く練習が必要なのか、どの段階でどんな意図を持ってどういう音の聴き方をして何をトレーニングするのか、という現実に動作としてできる言葉で口に出してみましょう。
そういうことをイメージするのは誰にとっても面倒くさいのできちんと意図するためにはそれなりの努力が必要です。
そしてさらに結果に結びつくまでの道筋を立てるというプランニングのスキルも必要になります。
練習計画を立てるスキルが自分になければ先生やコーチなどそれを知ってる人に導いてもらう必要すらあります。
そしてその具体的に計画を立てるという面倒くさい下準備こそが良い結果を生み出すのです。
なぜ雑念が厄介なのか
弱気になることだけではなく賞や点数や評価を狙うことも一般的に「雑念」といわれるのはそれが現場では役に立たないからだけではないかもしれません。
そういった雑念は油断するとすぐに顔を出してわたしたちがパフォーマンスを良くしようとする具体的で現実的な努力を邪魔します。
なぜかというと現場で役には立たないけれど簡単で気持ちがいいものだから。
だからこそ役に立たないその雑念に引きずり込まれないように建設的で具体的な思考を持ち続けるということを強く意図しなければならないのです。
それが「自分との戦い」といわれるものの本当のところなのかもしれませんね。
雑念に惑わされないためにしたいこと
それではここからは「自分なんか大したことないし」「どうせいつも失敗するもん」などのネガティブになる思考と「評価されたい」「褒められたい!」という結果しか見なくなる思考、それぞれの解決策を考えてみましょう。
まず前提として心に留めておきたいのは
わたしたちにコントロールできるのは過去や未来ではなく今現在だけ
ということ。
そして
自分以外のものごとは完全にはコントロールできないので、意図することができるのは自分に関することだけ
ということ。
弱気モード対策
ネガティブになって弱気モード、アドレナリンなんて出ていなくてすっかり怯えている。
なんなら今すぐ帰りたい。
そういう戦で負ける気満々の人が怯えを解決して積極的に戦う気になるには何が必要でしょうか。
迎え撃ってやる!絶対負けないぞ!という戦闘モードに切り替えるか、負けたって別に何ともない大丈夫、と開き直ることでしょう。
これは比喩なので「音楽に勝ち負けは・・」なんて話は今は関係ありません。
ここで怯えを解消して本当にやりたいのは自分で思い描いたように演奏することとします。
思い描いたように演奏するには曲のどこをどう表現したいか、自分の身体や楽器で何をコントロールするかが明確である必要があります。
バカバカしい言い方ですが思い描いてることが何も無いのに思い描いたように演奏することはできませんから。
そして失敗したことのある経験や失敗するかもしれない未来のことは忘れましょう。
今、目の前の作品を演奏するという動作のプランに自分の過去の記憶やまだ起こっていない未来は何も関係ありません。
そんな演奏動作に関係のないことを何もわざわざ本番中に考えず、今やりたいことに集中しましょう。
上手くやりたいモード対策
それではもう一つ、「評価されたい」「褒められたい!」という方向の雑念には一体どうしたら良いのでしょうか。
これもはっきり言って先程の弱気モードと同じです。
評価され褒められるために具体的にできる動作など何もありません。
大げさな身振りや音量変化で他人の気を引くための何かしらのアクションはできるでしょうが、そんなことは「いい演奏」には何の関係もなく、ただ気を引きたい人に見えるだけ。
実際にわたしたちにできるのは目の前の作品をどう表現するのか、どの場面で何をするのかを明確にしてそれを全力で行うこと。
それができたらもしかしたら評価もついてくるかもしれません。
全力でやっても結果がついてこないとき
どんなにきちんと集中できて手応えを感じたとしても、ときには見る目のない審査員からは全然評価されないこともあるものです。
そのような演奏者にコントロールできる範疇のことではないことを気にするのは時間とエネルギーのムダ。
どの審査員がどんな演奏を好きか嫌いか考えて迎合しようとするのは、自分の心からの音楽を無くしてありもしない正解を探す地獄への入り口になるので気をつけましょう。
まとめ
ということでネガティブタイプも評価を求めてしまうタイプもできることはひとつ。
「自分がコントロールできる目の前のことに集中する」
ということに尽きます。
参考にしていただけたら幸いです。